覇権国、米国国益遂行の手段為替レート
~1971 年体制の終焉、ドル一強時代の始まりか②~
【ストラテジーブレティン(345号)】
1971年から始まった第二次戦後体制の終焉
戦後体制は1945年からの36年間と、1971年から今日までの52年間に区分できる。第二次戦後体制ともいえる現在の世界政治経済秩序の骨格は1971年の2つのニクソンショックによって形成された。しかしそれは中国の「フランケンシュタイン」化と米国覇権に対する挑戦によって、維持することができなくなった。世界は今ニクソンショック体制に代わる新たな秩序が模索される時代に入っている。
「フランケンシュタイン」を作ったニクソンの米中国交回復、国連からの台湾追放
ニクソンショックの第一は米中国交回復である。国連常任理事国であった中華民国台湾との国交を断絶し、世界秩序の中に共産中国を招き入れた。経済発展が中国の民主化を促し、中国がいずれ世界のリベラルデモクラシー秩序の担い手になるとの期待に基づくこの政策は、50年後に大いなる誤りであったことが判明した。晩年ニクソン氏は「フランケンシュタイン」という怪物を作ってしまったかもしれない、と述懐した。またこの日本頭越しの米中連携は、同盟国日本外交に禍根を残した。30年後の2003年に明らかにされたニクソン訪中機密議事録によれば、ニクソンは「我々の政策は、日本が経済的拡張から軍事的拡張に進むことを可能な限り抑止する」「日本が台湾独立運動を支持することを思い留まらせる」「日本を抑制することが太平洋の平和にとって利益になる」「日本に米軍がいなければ日本は米国に意を払わない」(10/3/2016読売新聞、出口治朗氏等と述べている。中国に対する敬意と同盟国日本に対する警戒があからさまに語られている。