恒大集団経営危機、投資 =債務拡大による
成長ストーリーの終焉を告げる桐一葉
~当面の金融危機は回避されるが、顕著な減速が不可避に~
【ストラテジーブレティン(290号)】
(1) 恒大経営危機の顛末と帰趨
恒大集団経営危機、事実上の破たんへ
中国の不動産最大手企業、恒大集団が経営危機に陥っている。6月末の時点で有利子負債は5700億人民元、日本円で 約9兆7000億円(890億ドルの借り入れと債券発行による債務)である。これにサプライヤーに負っている買掛金、住宅購入者の頭金・前払い金などを加えれば負債総額は1兆9600億人民元、日本円で33兆円規模に上るとみられる。
ここ数年来の中国政府による不動産規制強化が引き金になり、不動産事業の採算悪化、資金繰り困難化、建設中の物件の工事停止、取引先への支払い停滞、購入したマンションの完成の見通しが立たず入居できない、等の混乱が起きている。恒大集団が破たんした場合、まず従業員や取引先の企業に大きな影響が出る。また、恒大グループが資金調達を急ぎ保有する物件を投げ売りすれば、不動産価格の下落を通じて他の業者にも打撃が及ぶ。また金融機関、投資家の損失発生が連鎖的金融困難を引き起こす可能性もある。
恒大集団の株価は昨年ピーク時(2020年10月8日)20.2HKドルであったが今年9月20日には 2.11HKドルへと10分の1まで急落、政府支援の期待が高まり9月23日には2.8HKドルに上昇したものの、9月24日には2.36HKドルへと再下落した。社債も額面の3割以下まで下落しており、破たんを織り込んでいる。利払い停止と債務不履行が懸念される。恒大集団は人民元建ての利払いは表明したが、ドル建ての利払いは遅延している模様である。当局がデフォルト回避を指示したと報じられているが、予断は許されない。