投機性強まるNY株式 、裏腹に日本株式は安全地帯に

2020/11/13

【ストラテジーブレティン(265号)】

政策不確実性の下、投機性強まる米国株式市場
米大統領選挙を前後して市場環境は急変、金融市場の方向感が見えなくなっている。米国株式は選挙前後で史上最高値を目前に急騰急落が繰り返されている。セクター間でも、グロースかバリューで、NYダウかラッセル2000かナスダックで、相反する動きがみられている。長期金利や為替も統一性のない動きである。
選挙直後はバイデン勝利、但し上院は共和党優勢との観測により、財政出動が抑制され金融緩和圧力が強まるとの観測から、長期金利が低下しグロース株中心のナスダックが急反発した。しかしファイザーのワクチン治験の好結果が発表されると、コロナ制圧⇒景気回復加速との思惑から長期金利が急上昇し、グロース中心のナスダックが急落した。他方、バリュー株中心のダウが史上最高値を更新している。金利急騰と軌を一にして、103円まで売られていたドルが105円台へと上昇した。
このような波乱は、米国金融市場が潮目に差し掛かっていることの表れかもしれない。2021年の景気回復は確かと考えるが、政策面での不確実性(①新たなゲーム・ルールとなるバイデン政策の輪郭不明、②対中政策も見えない、③エネルギー政策はどう変わるのか、等) が大きく、投資シナリオを描きにくい。米国金融市場では当面潤沢な流動性・投資資金を背景に投機的動きが続くものと思われる。

静かにバブル後高値更新、安定性強まる日本株式
その中で日経平均は一気に24000円台の壁を乗り越え、バブル後の最高値を更新した。日本株式には明確な方向性が示されたのである。特に注目されるのは、日本株式の安定性である。米国株式とは対照的に、日本株のボラティリティが相対的に大きく低下し、日本は低リスクの市場になった。2020年9~10月の米国株の10%の変動に対して日本株式は3%に止まっている。いわば日本株は、世界有数の危険地帯から安全地帯へと移行したのである。
2010年代を通して日本株式市場は著しく投機的でボラが高く、個人などの投資家は近づき難かった。日本株式取引の7割を占める外国人投資家は、投機(トレード)目的主体のプレーヤーであったためである。しかしそうした小鬼(投機プレーヤー)たちがNY市場に移動したことによって、日本市場に落ち着きが戻ってきたようである。

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