FM 今週のポイント(5月16日)

2016/05/16

 
*決算が一巡しつつあります。2017 年3月期のガイダンスは想定通りの慎重さですが、相場的にはほぼ織り込み済みで大きな波乱はありません。注目されたトヨタの決算(11 日発表:2017 年3月期予想)は市場予想を大きく下回る、営業利益ベースで前期比40%減の1兆7000 億円となりました。会社側は為替の追い風が無くなり、等身大の業績予想と強調していますが、現時点での想定される悪材料を全て織り込んだ超保守的なガイダンスであったと思われます。市場も悲観的には受け止めていません⇒12 日は一時、4.5%の下落を見ましたが、大引けは1.43%の下落に留まりました。市場予想を大きく下回るトヨタのガイダンスが市場全体を大きく押し下げることは無く(トヨタショックを回避)、今期業績(特に円高の影響で5%程度の減益ガイダンス)は既に織り込み済みと判断して良いと思います。

*決算が一巡したことで市場の関心は政府の経済対策に移ります。20~21 日のG7、26 日~27 日に伊勢志摩サミットを控え、6月の日銀追加緩和とともに財政出動(5兆~10 兆円)に加えて消費増税の先送りの決定が焦点となります。消費増税先送りについては日経新聞等において週末にサミット後の決定観測が流れており、今週初の市場の反応が注目されます。ただし、ほぼ想定されていたことであり、あえて上値を押し上げる要因にはならないものと思われます。注目は18 日に発表される1-3 月期のGDP 速報値です⇒前期比年率0.3%程度のプラスが予想されていますが、うるう年効果で辛うじてプラスとなるだけで実態は2期連続のマイナス成長です。仮に、0.3%プラスを大きく下回った場合、いわゆるヘリコプターマネーに期待度が高まる可能性があります(実際は法制度的にも無理筋ですが)⇒一時的に先物主導による急上昇が考えられます。今週は、妄想的な政策期待で日経平均株価が一時的に17000 円を超える可能性を想定しています。

*ただし、相場の本流は為替相場に規定されていると見るべきです。今年に入り、特に2月の急落、その後の回復相場において国内株式市場(TOPIX)の決定要因のほとんどはドル円相場が握っています(TOPIX とドル円相場のR2 が0.96)。従って、日本の政策発動によってドル円相場がいかに動くか⇒つまり米国がある程度の円安を許容するか否かが重要なポイントになると思われます。米国がある程度のドル高による経済的損失を補う程に日本の財政出動が米国に経済的・政治的メリットを齎すことが期待できるかです。ポイントはあくまでドル円相場です⇒日経平均株価上昇による一時的な円安では意味がありません。財政出動(ヘリコプターは無理でもドローン程度?)による円安転換に注目です。

 

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