FM今月のポイント(2014年12月)

2014/12/04 <>

*総選挙の結果を待つ相場が続いています。日経平均株価は10月末の日銀による電撃的な追加緩和、消費増税の延期を弾みぐるまにして堅調な推移を続けて来ましたが、14日の衆議院選挙の投開票日を前にして上値が重い展開となっています。消費税再増税の延期を決定して成長派としての旗幟を鮮明にした安倍首相ですが、財務省を主力とする財政派との権力闘争に勝利することができるのか?、マーケットは固唾を飲んで見守っています。おそらく、自民・公明の政権与党が絶対安定多数の266議席を確保することは可能だと思われます。問題は自民・公明で325議席ある現状から何議席減らすことになるのか?→300議席を大きく割り込んだ場合は安倍首相の責任問題にはならないとしても財政派の巻き返しが想定されます。6月の成長戦略策定でも積極的に首相サイドに協力した財務省、10月末に大概の予想を裏切って追加緩和を決定した黒田日銀、何れも消費再増税の決定を前提としたものと思われます。結果的に安倍首相にハシゴを外された格好になりました→財務省、日銀等の財政派が今までの協力姿勢から手のひらを返したような非協力、消極的抵抗を示し始めることが考えられます。安倍首相としては財政派の抵抗、巻き返しを予想して政治的求心力を高めることで(維持するだけではダメ)成長路線=アベノミクスの継続を目指しているものと思われます。そのために解散総選挙を決断し、政治的求心力を高めることができる議席数を確保出来ると目論んだのでしょう。選挙は水物です→マーケット参加者、強気派は安倍首相の目論見通り、自民党が大勝利してアベノミクス第二弾が大々的に打ち上げられる展開を期待しています→期待通りの展開で年末ラリーを謳歌するか、期待が失望に変わり焼け野原になるか、今のところ”神のみぞ知る”と言ったところです。過大な期待を持たずにフットワークを軽くしておいた方が良いでしょう。

*4日にECB理事会が開催されます。6月以降、緩和に消極的な北部欧州(特にドイツ)の抵抗にあいながらも長期資金の供給や資産担保証券(ABS)の買取などを打ち出して来たドラギECB、この年末の押し詰まった局面で世界のマーケットが期待していることは本格的なQE決定です。現在、マーケットで想定されているQEはユーロ圏19カ国の国債と欧州機関発行のユーロ建て債券の購入です(ECBへの出資比率に応じて上限を設定:独仏で全体の半分:銀行の融資金利の低下などの目標を掲げる)。今までドイツをはじめとする北部欧州勢がQEに反対して来た理由は南欧諸国のモラルハザード(QEによる安易な景況感浮揚策は構造問題改善を遅らせる)、ドイツ自身のバブル懸念です。しかし、ロシア貿易の滞り、対資源国向け輸出の不振で景況感が一段と悪化しているドイツの現状を考えるとQEを積極的に支持しないまでも消極的な容認に転じてもおかしくはありません。4日理事会で当面の景気予測を下方修正した上で1月から国債等を購入するQEが決定されるものと思われます。

*ECBのQEが決定した場合、14日の投開票日まで堅調な相場展開が予想されます(投開票日以降は前述の通り)。日経平均株価の25日移動平均からの上方乖離率は年初来高値をつけた11月14日の10%をピークに現状では4%台まで低下しています。時間調整を十分に果たしたと考えられ、投開票日までの一段の上昇を想定しています(18000円前後の水準がターゲット)。

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