「デジタル通貨とキャッシュレス社会」
(株)原田武夫国際戦略情報研究所 羽富宏文
3メガバンクとJR東日本が共同で3メガが発行するデジタル通貨や電子マネーとICカードのSuicaを連携させる方向で検討に入ったと日経新聞が報じた。他方で、新型コロナウイルス感染拡大防止のためで在宅勤務が増えたこともあり現金を使わずにキャッシュレスで物品等を購入する人も増えていると聞く。
(出典:Time&Space)
そもそもデジタル通貨とは電子マネー、仮想通貨(暗号資産)、中央銀行デジタル通貨を総称しているものだが、日本における昨今のキャッシュレス化において、デジタル通貨は親和性が高くなっているということなのだろう。
もっとも銀行業務の在り方とキャッシュレス化が関連しているとも言える。みずほ銀行は地方銀行などと組んで送金やキャッシュレス決済に使えるデジタル通貨「Jコインペイ」を発行しているし、三菱UFJフィナンシャル・グループは独自のデジタル通貨である「coin(通称MUFGコイン)」の発行を検討しているのだ。
他方で、JR東日本のSuicaは発行枚数が約8000万枚と利用者が多いものの、銀行口座とのやりとりが出来ない不便さがあった。
こうした動きは、キャッシュレス決済事業者にとっても朗報となるかもしれない。タイミングよく政府も消費増税に伴い実施されていたポイント還元制度の後継制度導入に先立って、キャッシュレス決済の事業者が加盟店から受け取る手数料について開示するよう義務付ける方針を固めており、月内に研究会を立ち上げるという。
キャッシュレス決済事業者は手数料を収益としているわけだが料率は各社まちまちであり、それは政府の方針も影響していたのである。政府による消費税増税にあわせたポイント還元策では決済業者が手数料を3.25パーセント以下に抑えれば「手数料の3分の1」「2~5パーセント」のポイント還元分を国が補助する仕組みになっているのだ。還元の期限は今月末までとなる。これを受けて来月から手数料を値上げする事業者も増えるだろう。IT企業などが手掛けるスマートフォンを使ったQRコード決済サービスの場合は条件付きで手数料を無料にするケースも多く、手数料率を比較しつつキャッシュレス決済事業者に注目するのが良いかもしれない。
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中央大学文学部哲学科卒業。2019年まで日本放送協会(NHK)・東京メトロポリタンテレビジョン株式会社(TOKYOMX)・株式会社テレビ神奈川(tvk)に在籍。
各局に在職中は主に報道部門でディレクター・記者としてニュース取材・番組制作に携わる。2014年からはノンフィクション書籍を定期的に出版。2019年11月より現職(グローバル・インテリジェンス・ユニット リサーチャー)。
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