日本企業の課題~競争力の強化に向けて

2013/10/08

・デロイト(DTTL)のGMCI(世界製造業競争力指数)2013をみると、日本の製造業の競争力は世界で10位、5年後には12位に落ちると予測されている。現在のトップは中国、ドイツ2位、米国3位である。5年後をみると、中国のトップは変わらず、2位インド、3位ブラジルである。本当だろうか。

・このレポートが指摘するように、高度な製造業はその国に好循環をもたらす。人材とR&D
投資によって、イノベーションを喚起する。新しい製品・サービスを通して、中間層の雇用を創出する原動力となり、製造業を支える周辺産業に波及するからである。日本がものづくりに拘る理由もここにある。

・各国の課題をみると、中国ではイノベーションの不足、税負担の重さ、低い生産性、不効率な規制が挙げられる。米国では、高い賃金、高い法人税、R&Dのアジアシフトが問題となっている。インドでは、脆弱なインフラや、インフレと金利上昇が問題だ。ブラジルでは低い技術力、高い賃金、高い法人税、脆弱なインフラが課題である。

・そして、日本に対しては、高い法人税、急速な高齢化、天然資源の乏しさが挙げられている。新興国は資本財と素材の高度化で日本を凌駕することができるだろうか。今のところこうした高度なものづくりでは日本が圧倒的に強い。それをどう活かすかが問われている。

・どの国もどの企業も課題は抱えている。それをグローバルに比較して、将来の方向付けは何としても成し遂げたい。分析(アナリシス)の基本は比較と予測にある。比較は出来るだけ異質なものとの比較がよい。異質になるほど当然比較は難しくなるが、視野が広がり、新しい軸が見えてくる。

・将来の予測も容易ではない。できないことも多い。しかし、10年、20年先を予測しようとすると、何が分らないかがはっきりしてくる。それでも、重点領域の選択や、長期的なR&Dは必要である。その上でどうやって価値を作り出すか、いかに儲けるかの構想力が求められる。ここを強化することが、今最も重要であろう。

・それを推進するフレームワークははっきりしている。1)現在問われている社会的課題を明示化する。2)その中から自らにとっての成長分野を定義する。3)その上でグローバルな発展の可能性を吟味する。4)そこでどのように強みを強化するのかの方策を練る。5)新しいものを生み出すためにオープンイノベーションの仕組みを作る。何でも自前ではスピーディに進まないので、ラボとハブの形成を図っていく。

・6)そこにビジネスモデルのコアを構築する。ビジネスモデルこそ価値創造の仕組みであるから、これを仕上げなければ、技術で勝ってもビジネスで負けてしまう。7)ビジネスモデルの軸はマネジメント力、イノベーション力、リスクマネジメント力、サステナビリティ力の4つである。

・8)そのビジネスモデルを通して、新しい社会的価値をいかに創出するか。9)ひいては強固な経済的価値を創出するかを問うていく。10)そのための戦略を徹底的に詰めて、実行していく必要があろう。

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