アクティブインデックス投資の広がり
・S&P Dow Jones インデックスは今や多様である。投資家向けインデックスガイド(2025年)をみると、1)株式、2)証券、3)コモディティ、4)不動産・テーマ、5)戦略型、6)ニュー・エコノミー、7)ESG・責任投資などに分かれている。
・筆者が興味を持つインデックスとして、①株式では、S&P小型株600指数(10年間のトータルリターン年率8.96%)、②不動産・テーマ型で、S&Pグローバル・インフラストラクチャー指数(公益事業、運輸、エネルギー)(同5.92%)、③同じく、S&P上場プライベート・エクイティ指数(大手上場PE会社)(同13.46%)などがある。
・また、④戦略型で、S&P/JPX配当貴族指数(ハイイールド・ディビデント・アリストクラッツ・インデックス)(同12.42%)、⑤ニュー・エコノミーで、S&P Kensho AIイネブラー指数(AI関連)(5年年率19.48%)、⑥同じく、S&P Kensho グローバル・スペース指数(宇宙関連)(同11.93%)などをあげたい。
・インデックスは投資商品の基礎として使用され、ポートフォリオのベンチマークやインデックス運動型のETFとして活用されている。インデックスは、①独立性、②透明性、③信頼性、④安全性(規制基準の遵守)を確保する中で、時代に合わせて、新しい指数が開発されている。
・6月にS&Pダウジョーンズ・インデックス主催のETFコンファレンスに参加して、いくつかのセッションのディスカッションをきいてみた。印象に残った点を取り上げてみたい。
・テーマ型(Theme-Based)指数では、AI活用指数連動ETFの人気が高い。米国のAI企業だけでなく、中国でもディープシークが登場してきた。AIに関して、中国に対する規制が強化されている。米中のAI企業の行方が注目される。
・日本では、高いリターン、高い分配金が魅力的であるというアンケートが多い。テックと高配当への関心が高い。一方で、中国では不動産危機はおいて、中国の中での成長分野はどこかという関心も高い。
・アクティブETFのニーズが高まっており、今後とも大きく伸びよう。2024年から2030年に向けて、ETFの伸びが2倍に対して、アクティブETFは5倍に拡大しそうである。
・通常のインデックスよりも、よりアクティブに投資することで、リターンを求めようとするアクティブETFでは、大型株、毎月分配型、債券アクティブなども活発である。
・国内機関投資家でもβ型からエンハースト型へ、アクティブETFを活用しようという動きが高まっている。リテール(個人向け)のSMA(Separately Managed Account)やファンドラップでも、対面営業型でアクティブETFを活用してポートフォリオのリターンを高めようという動きがある。
・暗号資産(クリプトアセット:仮想通貨)はどうか。米国では、リテールから始まって機関投資家への広がりがみえる。オーストラリアでもビットコインETFが始まっている。
・日本では、暗号資産ビジネス協会のもとで事業機会をリードしようとしている。一方で、クリプトETFを投資信託としてどのように展開するか。
・クリプト規制の制度化はこれからである。暗号資産は、証券か、商品先物か、新しい金融商品か。仮想通貨、暗号資産をETF化して、今の投信と同じような税法が適用できるようになるならば、クリプトETFは具体的に動き出そう。
・そうなれば、投資家は今の証券口座でクリプトETFに投資できるようになる。米国の例をみても新しい金融商品のニーズは高いので、大きく伸びる可能性があろう。個人が参入し、いずれ機関投資家も入ってこよう。金融機関は新商品としてどこまで規制を緩和して、既存商品と同等に扱えるようにするかにかかっている。
・そもそもビットコインのファンダメンタル(基礎的条件)は何で決まるのか。先物と同じように需給で決まるといっても、売り買いを支える経済条件は何なのか。どんな情報がカギを握るのか。人気が先行すると、ボラティリティ(変動性)は高まる。当然リスクは高いが、リターンへの期待も同じように出よう。
・ビットコインの価格変動はこれまでと違う。1年で±50%以上変動することもある。ありえそうでないことが、起こりうるという意味でファットテールである。ダウンサイドリスクもあるが、リターンのプレミアム期待も大きい。
・ビットコイン、暗号資産のボラティリティをカバーするデリバティブもいろいろ工夫されよう。カバード戦略を使ったETFなども登場しよう。リスクプロファイルが違った金融商品として位置づけられよう。
・現在、法改正に向けた議論がなされている。2026年に金商法改正が進めば、その後のルール作りを踏まえて、2027年から暗号資産ETFが市場に出てこよう。ETFの多様な活用をポートフォリオに組み込んでいきたい。
コラム&レポート Pick Up
相場見通し


投資アイディア


プロの見方


