アクティブ・デジタル シニアの育成をターゲティング

2019/12/02

・私がアナリストレポートを書いている企業に、アクティブシニアをターゲットにしている企業がいくつかある。シニアは、いつまでも元気でいたい。健康をいかに維持するか。

・同時に、生活においては、外部との接点をいかに保っていくか。ネット社会の中で、デジタルデバイド(情報格差)で遅れをとってしまっては、生活の楽しさが半減してしまうかもしれない。

・NRI(野村総合研究所)の機関誌「知的資産創造」に面白いレポートが載っていた。『「生活者1万人アンケート調査」で見るシニアの実態とシニア生活を支えるデジタル/社会的交流の価値』(2019年10月号)というテーマであった。

・その論旨を参考にしながら、アクティブシニアをビジネスチャンスにするにはどうしたらよいかを探ってみたい。

・NRIの分析によれば、ネットを利用できるデジタルシニアは、趣味などの活動もアクティブであり、同時に、社会的交流のあるシニアは生活満足度も高い。

・65歳以上のシニア人口は確実に増えていく。2040年には3900万人を超え、全人口の35%が65歳以上になる。

・「生活者1万人アンケート」(2018年)によると、シニアの趣味では、園芸・庭いじり・日曜大工などが減り、外食・グルメ・食べ歩き、映画・演劇・美術鑑賞や音楽鑑賞が増えている。

・シニアのデジタル面での趣味では、パソコン・ビデオ・DVD鑑賞、ゲームの比率が上がっている。パソコンの保有率は43%、スマホも33%と年々高まっている。特に、スマホの保有率をみると、1)世帯別貯蓄が高いほど保有率も高く、2)町村よりは都市部の方が高い。

・同時に、デジタル活用が進む都市部ほど、多少値段が高くても、利便性の高いものを買う傾向があると分析している。高付加価値な商品・サービスを求めている。

・一方、シニア全体をみると、テレビ、ラジオ、折り込みチラシが、依然として主たる情報源になっている。若者はテレビを観なくなっており、高齢層がテレビを観ているので、当然番組(コンテンツ)や広告も客層に合わせてくる。衰退とみられている折り込みチラシでも、やり方によっては根強い広告効果を出している。

・NRIの分析では、シニアを2つの軸で分けている。①デジタル軸と、②健康軸である。筆者の理解では、アクティブシニアとは、1)健康な人、2)今はまだ未病でも何とか健康の維持向上を心がけている人、とみることができるので、健康vs要介護支援は、アクティブvsパッシブ(ナーシングケア)と言い換えてもよい。

・健康でアナログ型という人は多い。自分はアナログ人間なので、デジタル機器は苦手という人である。しかし、デジタル機器を使いこなせないと、デジタルデバイドで遅れをとってしまう。

・一方で、使わず嫌いの人もかなりいる。使い易い機器を選んで、使い方をきちんと教えてもらえば、スイスイ使えるようになる。

・アクティブな人は、足腰が健康ならば、どこにでも出かけられる。健康に多少不安があっても、デジタル機器のサポートを通して、楽しみ方を大きく広げることができる。

・かつて、筆者が自動車アナリストをやっている時、自動車は公害をまき散らし、交通事故で人命を奪う走る凶器であるという批判があった。

・一方で、障害者でも運転できる車の開発が進むと、車は移動の自由を広げ、ハンディキャップのある人にも楽しみを提供するという評価が加わった。

・間もなく自動運転の時代がこよう。そうすると、アクティブシニアだけでなく、ナーシングケア(要介護)の人にとっても、快適さを一層もたらすであろう。

・シニアに対して、1)いかにアクティブに動けるようにするか、2)いかにデジタル機器を通して、コンテンツをサービスできるようにするか。

・結果としてアクティブ・デジタル シニア層を拡大できるようにすることが、人々の幸せにとって望ましい方向であろう。

・そこに新しい価値創造のニーズがあり、そのためのイノベーションが始まっている。1)サブスクリプション型のデジタルサービス、2)映像、音声などを多様に活用した利便性と楽しみの提供、3)シェアリングエコノミーをビジネスモデルにした新しいプラットフォームの構築と提供、などが続々と始まっている。

・B to Cのビジネスをみる時に、アクティブ・デジタル シニアにいかにフォーカスしていくかは、興味深い視点である。文化、趣味、レジャー、ヘルスケアなども含めて、幅広い産業を分析し、マーケティングする時に大いに活用できよう。

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