ユーロ圏の9月物価・8月雇用情勢

2018/10/02 <>
  1. 9HICPは総合が前年同月比+2.1%、コアが同+0.9%と、実質的な低位での推移が続きます。
  2. 8月失業率は8.1%と0810月以来の低水準です。イタリアが6年半ぶりに10%を割り込みました。
  3. 賃金の伸び率上昇はコア指数加速の兆候と見られ、年末に向け利上げ期待が台頭してくると考えます

着実な雇用環境改善がいよいよ・・・?

9月28日、Eurostat(EU統計局)が発表した9月のHICP(速報)は、総合が前年同月比+2.1%、コアは同+0.9%でした。生鮮食品、エネルギーの加速が、前月に対して総合を0.1ポイント押し上げた一方、コア品目は財、サービス共にほとんど上昇率に変化がなく、同-0.1ポイントでした。また、10月1日に発表された8月の失業率は8.1%(前月比-0.1ポイント)、08年10月以来約10年ぶりの低水準です。ギリシャの20%割れ(4月以降)に続き、イタリアが6年半ぶりに10%を割り込み、債務危機で苦しんだ国も、依然厳しいながらも雇用環境の改善が着実に進展しています。

雇用環境の改善が約5年間続き、所得環境の改善がようやく本格化してきました。ECB(欧州中央銀行)が発表した18年4-6月期の労働コストで、1人当たり雇用者報酬は前年同期比+2.5%と、9年半ぶりの水準に回復しました。これは、コア指数を先行き加速させる兆候と考えられます。

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米・ユーロの金融政策の位置関係は徐々に変化

ユーロ相場は、イタリアの財政政策への懸念などから神経質な動きが続いていますが、対ドルでは総じて小動きで、対円ではドル高・円安を受けて上昇しています。

ユーロ圏内の政治問題は程なく市場に織り込まれ、来年にかけてのユーロ相場は、米国との金融政策の位置関係が影響すると考えます。今後、所得環境の改善がインフレ率を押し上げれば、利上げ時期をめぐる現実的な議論が起こってくると見込まれます。一方、米国は利上げ打ち止め時期が意識され始め、米・ユーロの金融政策の位置関係が変化し始めると、ユーロにとって追い風になると考えます。

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