ブラジル経済の現状~18年4-6月期GDPと市場展望

2018/09/04 <>
  1. 実質GDP成長率は前年同期比+1.0%でした。ストの影響があったもののマイナスは回避されました。
  2. 通貨レアルの下落と低金利が景気にプラスに働くと見られ、年間では+1%台後半を予想しています。
  3. 大統領選控えて市場は神経質ですが、終了後は年末に向け株価、レアルは反発の可能性があります

ストが需要構成歪めるも景気回復方向は変わらず

8月31日、IBGE(ブラジル地理統計院)が発表した18年4-6月期の実質GDP成長率は、前年同期比+1.0%、前期比年率+0.7%でした。5月のトラック業界の大規模ストでマイナスに落ち込むリスクもありましたが、プラスを維持しました。

実質GDP成長率に対する寄与度は、内需が+2.3%、外需が-1.3%と内需主導でした。ただし、内需は在庫投資が、外需は輸出が、それぞれ成長率の押し上げ、押し下げに影響ししており、ストで輸出が滞り、その分在庫が積み上がったと見られます。一方、輸入品の流通停滞も推察され、これは個人消費を押し下げ、在庫投資を押し上げたと見られます。個人消費は前年同期比+1.7%と、1-3月期の同+2.8%から鈍化しました。7-9月期はその反動が出ると見込まれますが、プラスマイナス双方に要因があるため、緩やかな景気回復の方向性が大きく後退する可能性は低いと考えます。

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政治イベントの通過待ち

ブラジルでは、年初から通貨レアルは下落傾向、株価も伸び悩んでいます。これには、米金利上昇、NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉の先行き不透明感、一部の中南米諸国の経済、政治的な混乱、大統領・総選挙を控えた政治的な不透明感など、多くの不安要素が背景にあります。

ただし、これらの不透明要素も時間経過に伴って、一つひとつ一巡しています。今後の米金利上昇は織り込まれつつあります。また、NAFTA再交渉は米・メキシコ間では大筋合意しました。残りは中南米経済自体に対する不透明感と、大統領・総選挙です。前者についてはまだ波乱含みですが、選挙については、ルラ元大統領(人気高いが汚職疑惑抱える)が、高等選挙裁判所から立候補を認められず、大きな不透明材料が一つ払拭しました。選挙結果次第ではまだ波乱があり得ますが、選挙(10月7、28日)が終了すれば、政治リスクが後退することとなり、株価とレアルは反発余地が生じると考えます。

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