ブラジル中銀、追加利下げ~今後の金融政策と為替見通し

2018/03/22 <>
  1. 政策金利は0.25%下げの6.5%となりました。事実上の利下げ終了宣言を覆しての追加利下げです。
  2. 中銀は追加利下げを見ていますが、経済の展望に変化なければ次回で打ち止めが適当としています。
  3. 低金利は通貨レアルにはマイナスですが、景気回復による対外信用の改善が下支えすると思われます

追加利下げも示唆

ブラジル中央銀行(以下、中銀)は20-21日、Copomを開き、政策金利のSELIC金利を0.25%引き下げ6.5%としました(全会一致)。利下げは16年10月の会合以来12回連続です。前回会合では利下げ打ち止めが適当との声明を出していましたが、インフレ率が低めに推移したことを受け、それを覆して追加利下げが決定されました。

2月CPIは前年同月比+2.84%と、8ヵ月連続でインフレ目標(+4.5±1.5%)の下限を下回り、コア(推定、食品・エネルギー除く)も同+3.28%で低下トレンドが続きました。中銀は声明文で、次回の会合でも利下げが適当としています。ただし、その後については、現在の中銀による経済見通しに大きな変化がなければ、利下げは打ち止めになることも示唆しました。現在の物価見通しを前提とすると、19年にも利上げに転じると予想されています。

※Copom(Comitê de Política Monetária):金融政策委員会 ◇SELIC(Sistema Especial de Liquidação e Custódia):決済・預託特別システム

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景気回復のプラス面に注目

レアル相場は、対米ドルでは底堅いものの、ドル安・円高進行を受け、対円では下落しています。米利上げで対米金利差が縮小することはレアルにとってマイナスですが、景気回復が下支え要因と思われます。

ブラジル政局の混乱で、財政再建の目玉とされる年金改革法案は、現・テメル政権下での採決が断念されました。財政事情の改善の遅れは対外信用を棄損し、レアルにマイナスです。しかし、景気が回復に転じ、実際は財政事情は改善しています。公共部門収支の対名目GDP比は16年の-9.0%から17年は-7.8%でした。ブラジルの景気は、回復がより鮮明化する方向にあるため、財政事情の改善が認識されれば、改革の進捗にかかわらず、レアルが見直されてもおかしくないと思われます。

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