メキシコの金融政策~追加利上げを受けたペソ相場の展望

2018/02/09
  1. 政策金利は0.25%引き上げられ、7.5%となりました。インフレリスクを確実に抑え込むスタンスです。
  2. NAFTA再交渉や米国の金融政策正常化を注視しつつ、警戒的ながら様子見に転じると見込まれます。
  3. 米国に対して利上げを先行させたことで通貨ペソの下落リスクは後退し、安定的になると見込まれます

様々なインフレリスクに配慮

メキシコ銀行(以下、中銀)は、7日の金融政策会合で、政策金利である翌日物金利を0.25%引き上げ、7.5%としました。利上げは2会合連続です。

今回の利上げは、依然として高めのインフレ率に対して、さらなる上昇リスクを確実に抑え込むことを意図したものと見られます。1月CPIは1年前のガソリン値上げの効果の剥落から前年同月比+5.6%と大きく鈍化しました。しかし、インフレ目標の上限(+4%)を上回っています。足元の原油価格上昇にも警戒を示しています(エネルギーは前月比+2.4%)。また、NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉に対する先行き不透明感や、米国の金融政策正常化は、ペソにとって波乱要因であり、下落すればインフレ進行リスクを高めることにも配慮したと見られます。それでも、インフレ率が頭打ちの兆候を見せたことで、当面は様子見に転じると思われます。

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ひとまず好感される展開か

ペソ相場は、NAFTA再交渉が難航していること、米金融当局が緩やかな利上げを継続し、対米金利差が徐々に縮小してきたこと、そして国内的には政局不安を受け、17年後半から弱含みの展開が続いてきました。しかし、中銀が利上げを再開したことをきっかけに底堅くなっています。

今回の利上げは、正常化を続ける米金融当局のスタンスに対して先行した動きになり、ペソ相場にとっては追い風になったと見られます。8日、ペソは対ドルで下落したものの、米国資本市場の混乱の直撃を受けやすい割に、大きな下落にはなりませんでした。追加利上げを市場はひとまず好感したと見られます。中銀がインフレ警戒的な様子見姿勢を当面維持するならば、ペソ相場は安定的に推移すると期待されます。

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