1月のISM景気指数~米国景気のスタート状況と市場への影響について

2018/02/06
  1. PMIが前月比-0.2ポイント、NMIが同+3.9ポイントでした。米国景気は良好なスタートを切りました。
  2. 内外の需要の強さを映して製造業は前向きに在庫を積み上げ、非製造業は新規受注が好調です。
  3. 好調な経済が金融政策先行き不安につながっている感があり、当局の政策スタンスが注目されます

製造業、非製造業総合では、景気指数は約14年ぶり高水準

ISM(全米供給管理協会)は、1日にPMI、5日にNMIの1月分を発表しました。PMIは前月比-0.2ポイントの59.1、NMIは同+3.9ポイントの59.9でした。両者ではやや明暗が分かれましたが、両指数を生産高ウエイトで加重平均すると59.9で前月比+3.4ポイント、04年4月以来の高水準とでした。

PMIは在庫指数の上昇が支えており、生産が先行き抑えられやすい動きですが、納品指数も上昇しており、需要の強さが前向きな在庫積み上げをもたらしていると見られます。一方、NMIは新規受注指数と雇用指数の上昇が目立ち、良好な雇用環境がサービス消費を底上げしていると見られます。今回のISM景気指数を見るにつけ、18年の米国景気は好スタートを切ったと言えるでしょう。

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新FRB議長の政策スタンス明示が求められる?

なお、アトランタ連銀が発表しているGDP Nowで見ると、1-3月期の実質GDP成長率は、PMIまでを織り込んだ2月1日時点で+5.4%と推計されており、ISM景気指数の動きと整合的です。

こうした、好調な経済が金利上昇期待を強め、かえって市場の先行き不安を招く結果になっています。米金融当局は利上げと連邦銀行の総資産圧縮という、金融政策の正常化を進めていますが、現状は、依然として景気刺激的な金融環境が続いており、タカ派への政策スタンス変更の思惑が生まれやすい状況です。FRB(米連邦準備理事会)新議長としてパウエル氏が就任したばかりでもあるので、この際、どのような方向性にしろ、政策への自らの姿勢を明確にする必要が出てきているのかもしれません。

※各経済指標から経済成長率(前期比年率)を試算
◇物価安定重視で引き締め気味の政策を指向する立場。一方、雇用最大化重視で緩和気味の政策を指向する立場をハト派という

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