南アフリカの金融政策とランド相場の展望
- 南ア準備銀行(SARB)は18~20日の金融政策委員会で、政策金利を6.75%に引き下げました。
- 前回会合から物価見通しが大幅改善する中、利下げでぜい弱な経済を下支えする意向を示しました。
- 政局不安を背景に通貨ランドは神経質な展開が続きますが、相対的な高金利が下支えとなりそうです。
予想外の利下げ
SARBは18~20日の金融政策委員会で、政策金利を0.25%引き下げ、6.75%%としました。据え置きの市場予想に反し、12年7月以来、5年ぶりの利下げです。物価見通し改善が続く中、ぜい弱な経済を下支えする意向を示しました。
5月CPIは前年同月比+5.1%と、前月の+5.4%から鈍化、市場予想を下回りました。食料価格の落ち着きや、世界的な原油安を背景に、インフレは中銀目標上限+6%を下回る水準で推移しています。来年には電気料金値上げが予定されているものの、厳しい労働環境を背景とした賃金の伸び悩みや、GDPギャップの拡大を背景に、物価下押し圧力は依然根強く、中銀は17年、18年のインフレ見通しを、それぞれ5.7→5.3、5.3→4.9%と下方修正しました。
一方、2四半期連続でマイナス成長が続くなど、景気は依然ぜい弱です。8月8日に実施されるズマ大統領の不信任決議案審議や、与党ANC※の中銀の完全国有化提案など、政局不安の高まりが企業信頼感の低迷や投資減速につながっており、目先改善は見込まれないとしています。中銀は17年、18年のGDP成長率見通しを、それぞれ1.0→0.5、1.5→1.2%と下方修正しました。
※ANC(アフリカ民族会議)
底堅く推移
これまで堅調だったランドですが、予想外かつ5年ぶりの利下げを受け、一時1%急落し、その後はやや下値を切り上げてます。
慢性的な政局不安を背景に、ランドは当面は神経質な展開が予想されます。一方、新興国通貨にとって逆風になりかねない、先進諸国の利上げは、想定より緩慢なものになる可能性があることから、金利差縮小圧力の低下や相対的な高金利はランドを下支えし、反発に転じる可能性も考えられます。
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