ユーロ圏の5月雇用、6月物価情勢
2017/07/04
<投資信託>
- 5月の失業率は前月比横ばいの9.3%、失業者数も前月比-0.5万人とほぼ横ばいの動きでした。
- 6月のHICPは総合が前年同月比+1.3%、コアは同+1.1%と接近、双方実勢に近付いた形です。
- ユーロ圏の雇用・物価環境はまだ改善の余地があり、金融政策正常化への模索が始まりそうです。
まだ改善余地大きい雇用環境
3日にEurostat(EU統計局)が発表した5月の失業率は前月比横ばいの9.3%、失業者数も同-0.5万人と13カ月連続の減少となりましたが、ほぼ横ばいでした。4月に、失業者数の前月比減少幅が昨年来最大となった反動もあり、雇用環境改善の勢いは一服しました。中心国ではドイツが3.9%と同横ばい、フランス、イタリアが同+0.1ポイントのそれぞれ9.6%、11.3%、スペインは同-0.1ポイントの17.7%でした。
ユーロ圏の雇用環境は、過去の景気のピークと比べると、まだ改善の余地があります。ユーロ発足後の失業率の最低水準は、07年10月~08年3月に記録した7.3%であり、足元よりも2ポイント低い水準です。また、失業者数は08年3月の1,143.1万人が最少です。5月の失業者数1,503.4万人よりも約360万人下回ります。
徐々にプラス幅を切り上げる展開へ
6月30日に発表された6月のHICP(速報)は総合が前年同月比+1.3%、コアが同+1.1%でした。エネルギーや外泊費、一部の輸送サービスといった、動きの大きい項目の影響はやや薄れ、総合とコアが接近しました。両者の動きから、足元のHICP上昇トレンドは、おおむね前年比+1%台前半であろうと推察されます。
雇用環境にまだ改善の余地があるため、HICPは徐々にプラス幅を切り上げると見込まれます。17年末にかけて+1%台後半に向けて推移し、年明け後の量的緩和縮小を見据えた議論が、今後一層高まりそうです。
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