ブラジル、6会合連続の利下げ~レアル相場の方向性は?

2017/06/01 <>
  1. ブラジル中央銀行(以下、中銀)が政策金利を10.25%に引き下げました。1.00%の利下げです。
  2. 中銀は1.00%の利下げ幅維持も、政局混乱を鑑み、次回会合での緩和ペースの鈍化を示唆しました。
  3. 通貨レアルは神経質な展開が予想されますが、ファンダメンタルズ改善に下支えされると思われます。

テメル大統領汚職疑惑で緩和ペース鈍化か

5月30-31日のCopomが開かれ、政策金利のSELIC金利が11.25%から10.25%へと6会合連続、全会一致で引き下げられました。前回同様1.00%の利下げとなりましたが、政局混乱を背景に、今後の緩和ペース鈍化が示唆されました。

10日に発表された4月のCPIは、前年同月比+4.08%と、約10年ぶりの低水準となり、インフレ目標中央値の+4.5%も下回りました。景気後退による消費需要低迷や、国際収支改善を通じたレアル増価によるインフレ鈍化を受け、市場では1%を上回る利下げ観測も台頭していました。

ところが、17日に事態は一転、食肉不正事件でテメル大統領が捜査妨害を支持したとされる音声記録の存在が明らかとなり、新たな汚職疑惑が持ち上がりました。政治スキャンダルの影響で財政赤字縮小の柱となる年金改革法案の承認が遅れるとの懸念から、レアルは対ドルで7%を超え急落しました。テメル大統領は、不正への関与と辞任を否定しましたが、弾劾訴追される可能性もあり、予断を許さない状況にあります。中銀は、インフレ抑制には年金改革が肝要としながらも、政局混乱で不確実性が高まったことから、次回会合での緩和ペースをやや鈍化させることが適切になろうと、利下げに対し、より慎重な姿勢を示しました。

6.1.1

※Copom(Comitê de Política Monetária):金融政策委員会 ◇SELIC(Sistema Especial de Liquidação e Custódia):決済・預託特別システム

 

 

好調なファンダメンタルズが下支え

今回の汚職疑惑を受け、急落したレアルですが、対ドル3.37レアルを底に値を戻しています。また、3月の経済活動指数は前年同月比+1.05%と急回復していることから、17年1-3月期GDPはプラスに転じる可能性が高く、3年越しの景気後退からようやく脱する見込みも出てきました。

レアルは当面神経質な展開が予想されますが、ファンダメンタルズ好転や高金利に焦点が移れば、底堅い展開になることが予想されます。

 

6.1.2

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