ユーロ圏の5月景況感~欧州債務危機の影響を完全払拭
- 5月のIFO独企業景況感指数は史上最高値更新、ユーロ圏製造業PMIは6年ぶりの高水準です。
- 17年1-3月期は、生産、建設、輸出など企業活動全般が、ドイツだけでなくユーロ圏全体で好調です。
- 政治リスク後退や、来年以降の金融緩和縮小への思惑から、ユーロ相場は底堅い推移が期待されます。
記録づくめ
23日、独IFO研究所が発表した5月の独企業景況感指数は、前月比+1.6ポイントの114.6でした。水準としては、これまで最高だった10年12月(114.4)を上回り、統計開始(69年、90年までは西ドイツ)以来の最高値を更新しました。ちなみに現況指数も80年以来の過去最高値更新です。また、ユーロ圏製造業PMIは同+0.3ポイントの57.0と、こちらは11年4月以来約6年ぶりの高水準でした。欧州企業の景況感は欧州債務危機による景気低迷直前の状況を取り戻した形です。
IFOの主要業種別景況感指数(0が良し悪しの境目)は、製造業が+26.0と11年6月以来の高水準、建設業が+12.8と過去最高の16年12月(+12.9)に次ぐ水準、そして卸売業が+20.3と17年2月(+22.4)に次ぐ+20超えで、これは11年以来のものです。1-3月期の企業活動を見ると、ユーロ圏の鉱工業生産は前年同期比+1.3%(ドイツでは同+1.1%)、ユーロ圏の建設支出は同+1.2%、ユーロ圏外への輸出は同+10.2%と押し並べて好調です。
経済に続き、政治や金融政策の正常化が後押し
ユーロ圏は、好調さを増す経済に加え、今年、欧州で最大の政治リスクであったフランス大統領選挙を無難に通過したことが、マインドの改善に寄与しています。また、インフレ率もECB(欧州中央銀行)の掲げる目標(+2%弱)をほぼ達成したことで、来年の金融政策正常化(量的金融緩和縮小や利上げ)に対する思惑が強まっています。
こうした情勢を受け、ユーロ・ドル相場は年初の1ユーロ1.04ドル台から最近は一時1.12ドルを回復しています。しかし、これまで政治リスクで押し下げられていた分の反動や、金融政策変更に対する期待の強まりは想定以上であり、当面、ユーロは底堅い推移を維持すると期待されます。
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