メキシコ経済の現状とペソの展望
2017/05/01
<投資信託>
- 1-3月期の実質GDP成長率は前期比+0.6%となり、前期より減速しましたが、予想を上回りました。
- NAFTA脱退懸念など米通商政策の先行き不透明感が高まりましたが、景気は底堅く推移しました。
- 通貨ペソは神経質な展開が予想されますが、高金利や堅調な経済成長が下支えとなりそうです。
予想より好調
4月28日、INEGI(メキシコ国立統計地理情報院)が発表した1-3月期の実質GDP成長率(速報)は、前期比+0.6%、前年同期比+2.7%となり、米国との通商関係やインフレ加速懸念にもかかわらず、市場予想を上回る推移となりました。
累積的なペソ安や、ガソリン価格引き上げなどを背景に、3月CPIが前年同月比+5.35%、09年7月以来、約7年半ぶりの高水準となるなどインフレ加速が懸念されます。しかし、業種別の実質GDPは農業とサービス業が、それぞれ前年同期比+6.9%、+3.7%とけん引し、好調な内需が確認されました。メキシコ経済は今後も穏やかながらも、堅調に推移すると思われます。
一方、トランプ米大統領がNAFTA(北米自由貿易協定)離脱の大統領令の起草検討との報道を受け、ペソは約2%弱急落しました。しかし、26日、トランプ米大統領は、メキシコのペニャニエト大統領、カナダのトルドー首相との電話会談で、現時点でのNAFTA離脱を否定したことから、ペソは持ち直しています。また、メキシコ国境での壁建設の予算計上を先送りするなど、対米通商の懸念がやや後退しつつあることも、メキシコ経済の追い風となりそうです。
堅調に推移
ペソは、トランプ米大統領就任式前につけた、1ドル22ペソを超える最安値から、約14%上昇していますが、今後もトランプ米大統領の発言等で、神経質な展開を余儀なくされることが予想されます。
一方、インフレ抑制のため、中銀は金融引き締め勢(累計8回、利上げ幅は3.5%)を堅持しており、相対的に高い金利や堅調な経済成長を背景に、今後もペソは堅調に推移すると思われます。
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