ユーロ圏の2月雇用、3月物価情勢
2017/04/04
<投資信託>
- 2月の失業率は前月比-0.1ポイントの9.5%でした。イタリアや周辺国の低下が目立ちました。
- 3月のHICPは総合が前年同月比+1.5%、コアが同+0.7%と鈍化しました。環境改善は足踏みです。
- 年後半にはコアもインフレ率+1%台乗せが期待され、秋以降に緩和縮小論議が高まると思われます。
周辺国改善、年後半は9%台前半で定着か
3日にEurostat(EU統計局)が発表した2月の失業率は前月比-0.1ポイント低下し、9.5%でした。失業者数は前月比-14.0万人でした。減少は28カ月連続です。ユーロ圏の雇用環境改善は順調です。
国別に見ると、スペインが18.0%(前月比-0.2ポイント)、イタリアが11.5%(同-0.3ポイント)と、南欧の主要国が双方低下しました。ほか、アイルランド、ポルトガル、キプロスなど、欧州債務危機(10~12年)の時に厳しい経済環境に見舞われた周辺国の低下も目立ちました。ドイツ、フランスはそれぞれ3.9%、10.0%と横ばいでしたが、ユーロ圏の雇用環境は中心国、周辺国が循環しながら底上げされている印象があります。年後半には、失業率は9%台前半が定着すると期待されます。
物価環境の改善は緩やか
また、31日に発表された3月のHICP(速報)は、総合が前年同月比+1.5%、コアが同+0.7%といずれも2月から鈍化しました。原油価格が頭打ちとなったことなどを背景に、総合指数の加速が一服しました。エネルギー指数が2月の前年同月比+9.3%から同+7.3%へ、食品・酒・タバコが同+2.5%から同+1.8%へ鈍化しました。
2月に総合指数が+2%台に到達したことから金融緩和縮小に関する議論が高まる可能性も一部で指摘されていました。しかし、一部の品目の上昇だけで、早期の緩和縮小は考えにくく、今回の鈍化で、緩和縮小議論は一旦下火になると思われます。それでも、ユーロ圏の景気回復は順調で物価環境は緩やかに改善し、コア指数は年後半にも+1%台に乗せてくると期待されます。秋以降には緩和縮小の議論が高まってくると思われます。
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