トルコ経済の現状と為替相場展望~16年10-12月期GDP
2017/04/03
<投資信託>
- 実質GDP成長率は前年同期比+3.5%、マイナス成長は1期のみでした。個人消費がけん引しました。
- 個人消費が大きく戻したほか、設備投資も下げ止まり、国内経済は安定を取り戻しつつあります。
- 通貨リラは政治的要因で売り込まれた結果割安感が強く、底堅い景気や高金利が下支えしそうです。
国内の経済活動に安定の兆し
3月31日にトルコ統計局が発表した16年10-12月期の実質GDP成長率は、前年同期比+3.5%でした。7-9月期はクーデター未遂事件など、国内の政治情勢が不穏で、マイナス成長に落ち込みましたが、1期のみで終わりました。
個人消費が7-9月期の前年同期比-1.7%に対して同+5.7%となり、GDP押し上げの中心となりました。また、輸出が同-9.3%に対して+2.3%とプラスに転じ、純輸出(輸出-輸入)の寄与度が-2.5%から-0.2%へと大幅に改善しました。また、総固定資本形成(民間設備投資+公共投資)は同+0.5%に対して+2.0%と、プラス幅が拡大しました。企業の設備投資が少し戻したと見られます。エルドアン大統領による強権政治、移民をめぐるEU諸国との対立など、依然として政治的な不安定さが残っていますが、国内の経済活動は徐々に安定を取り戻しつつあると見られます。
通貨リラは割安感強く、小康状態
通貨リラは、政治不安から大きく売り込まれた1月からやや戻しています。景気が底堅さを見せていることが、リラにとってプラスに影響していると思われます。
CPI(消費者物価指数)が約5年ぶりに前年同月比2ケタの上昇となるなど、インフレ圧力が強まっているものの、トルコ中央銀行が通貨防衛によるインフレ抑制のため、市中金利を大幅に高め誘導していることは後々プラスに働きそうです。また、政治的な要因で売り込まれた通貨は、概して割安感が強く、新たな政治不安が出てこない限り、リラは小康状態を続けると見込まれます。
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