メキシコ0.5%の利上げ~高まるインフレリスク
- BOMは政策金利を5.75%から6.25%へ引き上げました。15年12月より、累計3.25%の利上げです。
- 対米リスクの高まりで減価したペソに加え、ガソリン価格の大幅引き上げでインフレが高騰しました。
- ペソは、トランプ米大統領就任式前につけた史上最安値から一転し、値を戻しつつあります。
4年4ヵ月ぶりの高いインフレ率
2月9日、BOM(メキシコ銀行)は定例理事会を開き、政策金利(オーバーナイト金利)を5.75%から6.25%に引き上げる決定をしました。15年12月より7回目、累計3.25%の利上げとなります。悪化したインフレ見通しを抑制することが狙いです。
1月のCPIは、前年同月比+4.72%と、12月の+3.36%から急騰し、4年4ヵ月ぶりの高い伸びとなりました。予想よりもペースが早まった米利上げ観測や、対メキシコに強硬姿勢を崩さないトランプ政権誕生により、ペソは対ドルで大きく減価し、物価を押し上げました。さらに、赤字経営に苦慮するペメックス(メキシコ石油公社)が、規制緩和を機に、年初からガソリン価格を20%引き上げたことも、インフレ高騰に追い打ちをかけました。中銀はインフレ見通しを、17年中は目標上限の+3%を超えで推移し、18年末に3%近くに収斂するとしており、物価抑制を最優先するため、当面は引き締めバイアスを続けると思われます。
ペソは史上最安値より反発
トランプ米大統領が掲げる通商、移民政策などに対する先行き不透明感から、ペソは米大統領就任式前の1月19日に、史上最安値の1ドル22ペソを超える水準まで売られました。ただその後は、NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉や「国境の壁」建設に関する大統領令発布にもかかわらず、悪材料出尽くしで値を戻しています。
米国のTPP離脱やNAFTA再交渉といった、通商政策路線の変更を受け、メキシコはブラジル、アルゼンチンなど、南米南部共同市場(メルコスール)の関税同盟国との通商関係強化に向けた動きもあり、米国外での市場拡大の好機も出てきました。ペソ安によって、輸出競争力も増しています。目先は、トランプ大統領の「つぶやき」等で不安定な展開が続くことが予想されますが、継続的な利上げによる金利面での妙味向上や、原油相場の反発を追い風に、底堅さ増すことが期待されます。
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