ユーロ圏の11月雇用、12月物価情勢
2017/01/10
<投資信託>
- 11月の失業率は9.8%で前月比横ばい、主要国で出遅れていたフランスや周辺国が改善しています。
- 12月のHICP総合は前年同月比+1.1%と約3年ぶりの+1%台です。生鮮、エネルギー主導です。
- 雇用環境改善にやや遅れてインフレ率が上昇、HICPは早晩、コアも+1%台に乗せると期待されます。
明暗分かれる
Eurostat(EU統計局)が1月9日に発表した11月の失業率は9.8%と前月比横ばいでした。失業者数は前月比-1.5万人とマイナス幅は縮小しましたが、25カ月連続で減少しています。
主要国では、フランスが9.5%と最近3カ月で0.7ポイント低下し、主要国では出遅れていた状態が急速に改善しています。ドイツは前月比横ばいながら4.1%と東西統一後最低水準です。また、周辺国が総じて改善する傾向も変わっていません。一方、イタリアは金融システム不安等を背景に最近半年程は失業者が増加しています。また、スペインは最近3年余り失業者が減少してきましたが、足元一服するなど明暗が分かれました。
年後半には量的金融緩和縮小論議も
1月4日に発表された12月のHICP(速報)は、総合が前年同月比+1.1%、コアが同+0.9%でした。総合は11月での同+0.6%から大幅な加速です。総合とコアの動きの違いは、エネルギーで約0.3ポイント、生鮮食品で約0.1ポイントの総合押し上げで説明できます。
ただし、失業率が10%を割り込んできていることで、インフレ率の基調を示すコアでも早晩+1%台に乗せてくる可能性高まっています。サービスが+1%台前半で安定しているのに加え、原油価格の回復や最近のユーロ安・ドル高が製品価格を押し上げることも考えられます。総合、コア共に+1%台半ばに達するのは早くても年後半と予想されますが、その際に、来年から量的金融緩和を縮小する論議が活発化してくる可能性があると思われます。
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