イタリア国民投票の結果と市場への影響
- 議会改革を目指した改憲案に対する国民投票は否決されました。賛成の得票率は約41%でした。
- レンツィ首相は辞任の意向ですが、賛成の得票率が40%超なので政権が維持される可能性があります。
- 政治改革は当面停滞するものの、民主党政権が維持されれば、事態は落ち着くと思われます。
得票率の差から何とか民主党政権維持の方向か
イタリアの与党・民主党のレンツィ政権は、議会改革を目指して、4月に憲法改正案を議決させ、4日、その是非を問う国民投票を実施しました。
イタリアは少数政党の乱立で、長年短命で不安定な政権が続き、上下院のねじれなどから法案が満足に議決できない状況が続いていました。憲法改正案は上院の権限を縮小して事実上の一院制とし、法案通過を円滑化し、政策を遂行しやすくしようとするものでした。
しかし、開票結果は賛成約41%、反対約59%と、憲法改正案は否決されました。これを受けてレンツィ首相は辞意を表明していますが、今後の政権や議会の扱いについては議会解散、首相任命などの権限を持つマッタレッラ大統領に一任されます。反対が賛成を18ポイント強上回り、惜敗とは言いにくいものの、賛成の得票率がわずかながらも40%を超えたため、解散総選挙に至る可能性は今のところ低いと思われます。ただし、レンツィ氏以外で暫定政権が組まれる可能性も出てきたと見られます。いずれにしても民主党政権の弱体化は避けられず、政治改革の停滞が懸念されるところです。
市場の反応は限定的、目先は神経質な展開か
直前の世論調査(賛成45%前後、反対55%前後)よりも差が開き、レンツィ首相が早々(日本時間午前8時30分頃)に敗北を宣言しました。市場では失望感が広がり、ユーロ・ドル相場は週末NY終値の1ユーロ1.066ドルから、一時は1.05ドル寸前まで売られました。しかし、現時点(午後4時35分頃)では1.06ドル台を回復し、結果的に反応は限定的であったと見られます。
マッタレッラ大統領の最終的な判断を待つ必要があり、目先はまだ神経質な展開が続かざるを得ないでしょう。しかし、上記の政局に対する見方から、早晩市場は落ち着き、世界的にリスク回避の動きが広がる可能性は低いと思われます。
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