メキシコの金融政策と今後のペソ相場展望
2016/07/04
<投資信託>
- メキシコ中央銀行は政策金利を5ポイント引き上げ4.25%とし、市場予想を上回る利上げをしました。
- 英国欧州連合(EU)離脱懸念で、下落に拍車がかかった通貨ペソ(以下、ペソ)を下支えするためです。
- 相対的に高い金利や、原油相場の持ち直しは、今後ペソの下支え要因になると思われます。
通貨安下支えとインフレ抑制のため
6月30日、メキシコ中央銀行(以下、中銀)は定例理事会を開き、政策金利(オーバーナイト金利)を0.5ポイント引き上げ、4.25%にしました。2月17日の緊急利上げ以来、4カ月ぶりで、0.25ポイントの利上げを予想していた市場予想を上回りました。史上最安値圏にある通貨ペソの下支えと、通貨安に起因するインフレを抑制することが主因です。
インフレは引き続き低位で推移し、中銀目標中心の+3%を下回っていますが、ガソリンの公定価格引き上げの影響で、年末には+3%を上回る可能性も出てきました。また、ペソは5月以来、米利上げ観測や反移民的政策を掲げるトランプ米大統領候補の台頭、国営石油会社ペメックスに起因する財政見通し悪化を受けて大きく売られ、新興国通貨の中で最も下落した通貨の1つでしたが、先週の英国でのEU離脱是非を問う国民投票で、離脱が選択されたことを受け、下落にさらなる拍車がかかりました。
中銀は「通貨下落圧力が続く場合、さらなる利上げも辞さない。」とし、また米利上げに受動的に追随するのではなく、前倒しの利上げの可能性も示唆しています。
高金利や原油価格回復がペソの下支え
ペソは利上げ発表を受けた後、1%以上急騰して推移しました。
英国のEU離脱の進展、米国利上げや米大統領選をめぐる思惑など、ペソ安の主因である外部要因の根強い不透明感は否めません。しかし、市場が落ち着きを取り戻せば、相対的に高い金利や原油市場の持ち直し、通貨安を追い風とした貿易収支の改善が着目され、今後はペソの下支え要因となることが予想されます。
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