FOMC~年内利上げは何回なのか?
- FF金利は据え置きでした。足元の雇用環境の改善鈍化や海外情勢に配慮したと見られます。
- FOMCメンバーのFF金利予想が大きく下がり、年内利上げ1回が17名中6名に上りました。
- 市場では年内利上げに懐疑的な見方も台頭しています。当面は英国民投票や雇用指標に注目です。
雇用指標が影響、英国国民投票も考慮
6月14-15日、FOMC(米連邦公開市場委員会)が開かれました。FF金利誘導水準は0.25-0.50%で据え置かれました。委員会終了後に発表された声明文では、雇用拡大の鈍化が考慮されたことがうかがえます。また、記者会見では、6月23日のEU残留・離脱を問う英国の国民投票も、意思決定に影響したことをイエレン議長が示唆しました。
FOMCメンバーの16年経済見通しは、失業率は4.7%で据え置き、実質GDP成長率は+2.0%で前回の+2.2%から下方修正、インフレ率(右下図中☆参照)は+1.4%で前回の+1.2%から上方修正されました。5月の失業率がすでに4.7%と、雇用の拡大が限界に近いという見方も出てきています。
景気については、雇用・所得環境の改善を受けて個人消費、住宅投資が堅調な一方、設備投資や外需が減速ししており、家計と企業の景況感で明暗が表れている、いわゆる「片肺飛行」となっているのが米国景気の現状と思われます。
また、インフレ率の上方修正は、国際商品市況下落の影響の剥落を受けたもので、インフレ期待に変化はない上、目標の+2%を早期に達成する展望にもつながっておらず、利上げの誘因にはなっていないと思われます。ただし、雇用拡大が限界に近いなら、今後は賃金に上昇圧力がかかる可能性があり、これからの政策の意思決定に影響しそうです。
利上げを急がないスタンス?
FOMCメンバーによるFF金利誘導水準の予想は、全体的に下方修正されました。全予想(17名)の中央値は16年は0.875%で3月時点と同じですが、年内利上げ1回を示す0.625%と予想したメンバーが6名と。3月時点の1名から大幅に増加しました。また、1%超の予想は16名から2名へ激減しました。年内の利上げは1~2回というのが大方のコンセンサスで、利上げを急がないスタンスが示唆されました。
一方、市場の形成する利上げ予想は、FF金利先物や国債利回りから推定すると、年内は0~1回がコンセンサスとなっており、FOMCメンバーの予想より慎重です。こうしたことを受け、米国債利回りは2年が2月以来の0.6%台に低下、10年は1.5%台と年初来最低となりました。市場の予想は今後の経済情勢によって上下に振れるため、雇用関連指標や海外情勢によって、年内利上げなしから2回までの間で、市場はまだ揺れ動きそうです。
アムンディでは、年内の利上げを1~2回と見ています(年末を0.75%と予想)。現時点の予想に基づくと、ドル・円相場は現状よりもやや円安、中・長期金利は上昇の余地があると見ています。
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