日本株、追加緩和以来の安値~今後どうなる?

2016/01/20
  1. 日経平均株価が16500円を下回り、1410月末の追加緩和以来の水準まで下落しました。
  2. 年初からの株価下落、円高、原油安などは過剰なリスク回避姿勢がもたらしたものと思われます。
  3. 世界経済の拡張方向は変わらず、原油安も基本的にメリット大です。市場心理の沈静化が待たれます。

不安心理の相乗効果で相場押し下げ

本日の日経平均株価は1万6416.19円となり、昨年末からの下落率は13.8%に上り、日銀が追加金融緩和を決定した14年10月31日の終値1万6413.76円とほぼ並ぶ水準となりました(〔参考〕を参照)。

年初からの株安は世界的なもので、19日時点の対昨年末比では米国(S&P500)が8.0%、欧州(ストックス欧州600)が9.0%、新興国(MSCI新興国〔現地通貨建て〕)が7.8%と押し並べて下落しています。要因としては主に①原油安、②中東情勢悪化などが挙げられますが、日本株の下落が特に大きい理由としては、さらに③中国経済不安で株価が急落(上海総合指数は19日で昨年末比15.0%下落)している影響、④円高進行などが挙げられます。しかし、これらの要因は年初から変わっておらず、市場のリスク回避姿勢はやや過剰になってきたのではないかと思われます。

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原油価格は需給面の不安、為替は円の全面高

昨年末以降の原油価格(WTI:米国指標油種)は、1バレル37ドル台から27ドル台へ下落し、03年9月以来の安値となりました。イランとサウジアラビアが断交し、原油の生産調整が困難となったのに加え、イランへの経済制裁解除で原油の増産が見込まれること、米国シェールオイルの輸出解禁など、需給不安が増幅していることが相場を押し下げています。一方、為替は、米ドルがほぼ横ばいなのに対して、円が全面高となっており、日本株にマイナスの影響を与えたと見られます。

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緩やかな景気拡大傾向は変わらず、原油安は日本にとって大きなメリット

しかし、世界経済の拡大傾向は変わりません。19日にIMF(国際通貨基金)が発表した世界経済見通しでは、16年の世界の実質GDP成長率は前回予想(15年10月)から0.2ポイント下方修正され+3.4%ですが、15年(推定)の+3.1%からは加速すると予想されています。株価がさらに下落するには景気後退リスクが大きい場合であり、現在はそれとは異なります。

また、原油安は家計の負担軽減を通じて、日本の個人消費にプラスです。例えば、年間所得530万円程度の標準的世帯(厚生労働省「国民生活基礎調査」による)を考えて見ましょう。CPI(消費者物価指数)によると、エネルギー指数の年間平均は、15年(ただし1~11月平均)は14年に対して6.73%低下しました。エネルギー指数のウエイトは7.72%なので、530万円×73.8%(平均消費性向)×7.72%×6.73%=約2万300円が年間で軽減されます。19日に財務相が出した、消費税の軽減税率による負担軽減は世帯ベースで約2万6700円であり、これに近い金額です。

現在は市場の不安心理を背景に、原油安、円高のデメリットのみが強調されているため、メリットに目が向くようになれば、意外と相場の戻りは早いのではないかと思われ、底値買いの機会とも考えられます。まずは市場心理の沈静化が待たれるところです。

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