12月の雇用統計について(米国)

2016/01/12 <>
  1. 非農業部門雇用者数は前月比+29.2万人、失業率は前月比変わらずの5.0%でした。
  2. 失業率横ばいの理由は離職や新たな労働市場への参入増加のためであり、環境改善は変わりません。
  3. 賃金が、徐々にではあるものの増加ペースを上げてきています。物価安定に向けてよい傾向です。

前向きな失業率横ばい

1月8日、米労働省が12月の雇用統計を発表しました。非農業部門雇用者数は前月比+29.2万人と、市場予想の+20万人を大幅に上回りました。鉱業や製造業の一部を除くと、雇用の増加ペースが大きく拡大、建設、運輸、人材派遣等の非製造業と製造業では食品、化学などの内需系が貢献しました。

失業率は3カ月連続で横ばいですが、これまで働いていない人が職を求めて労働市場に参入したことが背景にあります。失業者の失業理由別内訳によると、失職による失業(不況型失業と呼ばれることもあります)の割合が、11、12月と連続して低下しました(10月:49.4%→11月:48.6%→12月:47.7%)。したがって、足元の失業率下げ渋りは前向きなものであり、低下方向にあることに変わりありません。

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今後徐々に物価に反映か

「雇用のたるみ」解消度合いを示す「広義の失業率」-失業率は、4.9%で横ばいでしたが、物価上昇を促す水準に達していると見られます。

民間企業時間当たり賃金は前年同月比+2.5%と、15年では最高水準にあります。今後、さらに雇用が増加することで、労働需給がひっ迫し、賃金は押し上げられやすくなると見込まれます。そしてそれは、金融当局が掲げる物価目標(+2%)に近付き、金融政策の正常化が進むことを意味すると思われます。

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