スペイン総選挙について
- 与党が議席を大幅に減らした一方、野党も過半数を獲得するに至らず、政権協議は難航しそうです。
- 左派政党の伸長は、財政再建優先の政策スタンスに対する国民不満の表れと考えられます。
- 市場への影響は限定的ですが、左右へ支持の分離が進むことは社会の安定にとって懸念材料です。
左右拮抗で双方が連立政権協議か
12月20日に実施されたスペイン総選挙は、中道右派の与党が大幅に議席を減らし、一方で、左派政党が大きく躍進しました。ただし、双方とも過半数を制するに至りませんでした。ラ・ホイ現首相率いる与党国民党は下院で123議席(前回186)でした。同じ中道右派のシウダダノス(市民党)(40議席)が連立相手と想定されていますが、両党合わせても163議席と過半数に届きませんでした。
一方、左派政党については、今回台風の目とされていたPODEMOSが69議席獲得しました。また、社会労働党が90議席(前回110)でした。統一左翼(2議席)を加えると、下院で161議席とこちらも過半数に届きませんでした。一方、上院は国民党と市民党合計で130議席と、間接選出分が加われば過半数を維持すると思われます。この他、カタルーニャ州、バスク州で分離独立を目指す政党も一定の議席を確保しました。どこも優位に立てない中、政権協議は難航しそうです。
今後も波乱要因抱える欧州の政治情勢
左派政党の躍進はギリシャの急進左派連合(SYRIZA)にも見られますが、これは財政再建優先で国民経済が低迷を強いられることに対する国民の不満の表れと考えられます。この他、フランスでは右派の国民戦線が地方選挙で躍進、少し前では14年の欧州議会選挙で中道が後退するなど、支持層の左右分離が進んでいるのが最近の欧州の政治情勢といえます。
今回のスペイン総選挙は、ギリシャで政治的混乱や債務危機が注目されていた今年前半は波乱要因として注目されていましたが、直前では左派の躍進がほぼ織り込まれ、市場では大きな動きは出ませんでした。しかし、欧州各国の政党支持が左右に分離することは、社会や経済を不安定にするという懸念があります。16年は、前半中心に周辺の数カ国で総選挙が実施されるほか、ドイツの州選挙も各所で実施される予定であり、左右両派の動向が注目されるところです。
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