メキシコ経済の動向~2020年7-9月期GDPと市場展望
- 実質GDPは前期比+12.0%でしたが、経済活動の制限が長引き、「コロナ前」を大きく下回っています。
- 今後も着実な景気回復が続きますが、「コロナ前」を回復するのは2024年頃になると見込まれます。
- ペソは金利低下観測後退が追い風、原油価格弱含みが逆風と好悪両材料が拮抗し、もみ合いそうです。
製造業中心のリバウンド
10月30日にメキシコ国立地理統計院(INEGI)が発表した2020年7-9月期の実質GDPは、前期比+12.0%(前年同期比-8.6%)と、景気が大きくリバウンドしました。GDPの水準は「コロナ前」である2019年10-12月期に対して8.1%下回り、景気回復は欧米に比べて遅れ気味です。産業別では、第一次産業が前期比+7.4%(前年同期比+7.4%)、第二次産業は同+22.0%(-8.9%)、第三次産業が同+8.6%(-8.8%)と、主に製造業中心の回復でした。
6月以降、経済活動の再開が始まりましたが、新型コロナの感染拡大が続き(新規感染のピークは8月上旬)、思ったように緩和が進みませんでした。メキシコ政府は「新感染症危険情報」として、全国の州を規制の厳しい順に4色(赤、橙、黄、緑)を割り振っていますが、赤(サービス業の過半が再開不可)が無くなったのは9月以降、現時点でも過半の州が橙です。橙は、サービス業が通常の25~75%の業容に制限されます。黄では50~100%です。景気は今後も着実に回復を続けると見込まれますが、「コロナ前」を回復するのは、欧米よりも遅く、2024年頃になると見込まれます。
好悪両材料が拮抗しペソはもみ合いか
メキシコペソ(以下、ペソ)相場は、6月以降1ペソ4円台後半を中心としたレンジ相場となっています。一方、対ドルでは1ドル21~23ペソで底堅い展開です。円高ドル安が進行した分、対円の上値が重い印象です。
CPI(消費者物価指数)が前年同月比+4%を2ヵ月連続(8、9月)で上回り、政策金利は現行の4.5%からの利下げ余地がほぼなくなったと見られます。金利低下観測が後退したことはペソの下支え要因です。一方、このところ欧米での新型コロナの感染再拡大で景気先行き不安が再燃し、原油価格が弱含みとなっていることは産油国として逆風であり、当面はもみ合いが続くと見込まれます。
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