ユーロ圏の7月物価・6月雇用について

2020/08/03
  1. 7月HICP総合は前年同月比+0.4%と小幅上昇です。一方、コアが同+1.2%と大きく上昇しました。
  2. 6月失業率は7.8%と前月から0.1上昇。2~5月が悪化方向に修正され、雇用環境は厳しい状況です。
  3. 物価、雇用は景気に対して遅行する傾向があり、物価低迷と厳しい雇用環境は当分続くと見込まれます。

低迷は長期化の方向

Eurostat(EU統計局)が発表した7月のユーロ圏HICP(統合消費者物価指数)は、総合が前年同月比+0.4%と6月の同+0.3%から小幅上昇しましたが、コアは同+1.2%と、6月の同+0.8%から大きく上昇しました。コアのうち、財が前年同月比+1.7%と、6月の同+0.2%から大幅に上昇しました。詳細は未公表ですが、前年同月が低かった一部品目の反動高が影響したと見られます。サービスは同+0.9%と6月の同+1.2%から低下しました。これも詳細は未公表ながら、輸送、外食、宿泊などが低迷したと見られます。

ユーロ圏において、インフレ率は景気循環に対して大きく遅行する傾向があり、実質GDP成長率(前期比)とコアとの比較では2年近く遅行する傾向があります。今回は、景気循環に基づく景気後退ではないという特殊要因はありますが、コロナ禍で失われた需要を取り戻すまでは低位が続き、2年後でも+1%前後と、ECB(欧州中央銀行)の目標(+2%弱)を下回ると予想されます。

雇用環境は最悪期脱するも低迷続く

6月の失業率は7.8%(前月比+0.1)と小幅上昇しました。2~5月が悪化方向に修正され、実際はロックダウン(都市封鎖)によって雇用環境はより悪化していたことが示されました。失業率は2月は変わらなかったものの、3月は0.1、4月は0.2、5月は0.3といずれも高く修正され、失業者数は2~5月合計で32.4万人上乗せされました。

雇用環境は、景気循環に対して1年程度遅行する傾向があります。ECB(欧州中央銀行)は6月に発表した経済見通しで、失業率が最高で10%を超える可能性を指摘しています。しかし、今回は景気循環に基づく景気後退ではなく、経済活動の再開が進めば、一時的に解雇された従業員が戻ることも考えられ、雇用の回復が比較的早期に起こる可能性もあります。ただし、経済活動再開のペースは今のところ手探りの状態にあり、最悪期を超えた感はあるものの、当分は厳しい状態を余儀なくされると思われます。

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