ユーロ圏の5月物価・4月雇用について
2020/06/04
<投資信託>
- 5月HICP総合は前年同月比+0.1%に鈍化しました。一方、コアは同+0.9%と底堅く推移しています。
- 4月失業率は7.3%と前月比+0.2。失業者数が大幅に増加し、経済活動抑制の影響が露呈しました。
- 景気回復期待が高まり、市場はリスクを取る傾向が強まっています。ユーロもその一環で堅調です。
コアは低位安定、失業は当面増加か
Eurostat(EU統計局)が発表した5月のユーロ圏HICPは、総合が前年同月比+0.1%(前月比-0.2)でした。エネルギーが同-12.0%と落ち込み、4月に跳ね上がった食品が落ち着いたことが背景です。一方、コアは同+0.9%で前月比横ばいでした。経済活動が再開され始めたとはいえ、耐久財やサービスへの需要は低迷したと見られますが、意外と底堅い動きでした。6月以降は、経済活動の再開が本格化し、総合が底打ちする一方、コアは低位安定が見込まれます。
4月の失業率は前月比+0.2の7.3%でした。雇用環境の急速な悪化は避けられないとの見方がもっぱらでしたが、上昇幅自体はそれほど大きくなりませんでした。失業者数は前月比+21.1万人と、欧州債務危機で景気後退期の最中であった2013年1月以来の20万人超えです。米国のようなドラスティックな失業者の増加はありませんが、休業や自宅待機で仕事ができていない人は多いと見られます。景気に遅行する傾向があるため、当面は失業の増加が続くと見込まれます。
「コロナ前」水準に戻り急騰局面は一服?
このところ、市場ではリスクを取る傾向が強まっており、ユーロ高が続いています。ユーロは5月下旬から上昇傾向が強まり、対ドルでは約3ヵ月ぶりの1ユーロ1.12ドル台、対円では約4ヵ月半ぶりの122円台です。
ユーロ高は、もっぱらドル安によるものと見られます。最近の為替市場では、逃避先の通貨とされていたドル、円、スイスフランなどが弱く、新興国通貨、資源国通貨などの対ドル上昇が目立っています。「コロナ前」の水準に戻したこともあり、上昇余地は狭まっているものの、目先は底堅いが期待されます。
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