レームダック化しないパウエルFRB議長

2026/04/03

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◆「影のFRB議長」作戦は不発

パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長の議長としての任期が満了する5月15日まで、1カ月余りとなりました。今月(4/28-29)のFOMC(米連邦公開市場委員会)は、「パウエル体制」での最後の会合となります。そろそろ退任が迫り、レームダック化してもおかしくない時期です。しかし、パウエル氏の言葉は今なお重みを持って受け止められています。

例えば3月18日、FOMC後の記者会見でパウエル氏が「インフレ抑制に進展がなければ利下げはしない」と述べると、前日に約1.0回だった年内利下げの織り込みは約0.6回まで縮小しました(下図)。そして、2日後の3月20日に利上げを織り込む姿に転じました。一方、3月30日にパウエル氏は「(資源価格が高騰しているにもかかわらず)インフレ期待は落ち着いている」と述べました。すると今度は利上げ織り込みが剥落し、金融市場は利下げを改めて織り込むようになりました。

昨春頃、「影のFRB議長」説が話題になったことがありました。次期議長を早めに決めることで、パウエル氏の影響力を弱めようとするトランプ大統領の戦略でした。実際には、これとは逆にパウエル氏は最後の最後まで強い存在感を維持することになったわけです。

◆パウエル氏個人の声ではなく、FOMCの総意か

パウエル氏がここまで強い影響力を有しているのは何故でしょう?2つの理由が考えられます。第1に、トランプ大統領が次期議長に指名したケビン・ウォーシュ氏の就任が遅れる可能性があることです。共和党のある上院議員は、FRB本部の改修を巡るパウエル氏への司法省の捜査が続く間は、FRB人事の指名を阻止すると明言しています。パウエル氏は、次期議長の就任が遅れた場合には、法に則り自身が暫定的に議長を続投する姿勢を示しています。

第2に、パウエル議長の発言が、個人の意見ではなく、ボードメンバーの総意の代弁と受け止められている可能性があります。パウエル氏は、2018年の議長就任時に米WSJ紙から「Mr. Ordinary(ミスター普通)」と称されました。強い政策的スタンスがあるわけでも、派手なパフォーマンスをするわけでもなく、堅実にメンバー間の合意形成を優先していく議長、といったような意味でした。パウエル氏は確かに、ハト派・タカ派メンバーの双方のバランスを取りながら丁寧な政策運営を続けてきた印象があります。そのため、退任直前でもその発言は今後の金融政策の方向性の重要なサインだと受け止められているのでしょう。

パウエル氏は近年、「Mr. Too Late」とありがたくない名前で呼ばれることがあります。ただ、市場が見ているのはむしろ「Mr. Ordinary」の姿だと言えるでしょう。

(シニアストラテジスト 稲留 克俊)

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