緊急FOMCで新たな信用供与策
- 国債、モーゲージ担保証券(MBS)の購入を無制限としたほか、信用供与の手段を大幅に拡充しました。
- 中小企業向け信用供与促進策、金融機関の信用供与促進のための制度整備も実施する予定です。
- 非常に厳しい経済の停滞に不安は根強いものの、結果的に景気や市場の回復に資すると期待されます。
金融面で出来得る限りの方策打ち出す
23日、今月3回目の緊急FOMC(米連邦公開市場委員会)が開かれました。新型ウイルスの感染拡大で、非常に厳しい経済活動の停滞に見舞われる中、金融当局として可能な限りの方策をもって国民経済を支える姿勢が示されました。
第一に、15日に発表された総額7000億ドルの国債、MBSの購入を無制限としました。第二に、信用供与の手段を大幅に拡充しました。本来、米国の金融当局は民間へ直接信用供与する法的権限はないとの認識です。そこで、財務省の為替安定基金(ESF)から資本供与を受け、それを元に特別目的会社を(SPV)を設立し、金融当局がそこに信用供与のための資金を貸し付けるという形式にしました。第三に、そのほかの信用供与手段の拡充で、近々詳細が発表される予定です。①メインストリート貸出プログラムを創設して中小企業向け貸出を充実させるほか、②金融機関の資本規制を一部変更することで貸出余力を拡充させます。
第二のスキームは全部で3つあります。①発行市場での社債の買い取りや貸出を実行(発行市場企業信用ファシリティ:PMCCF)、②流通市場で社債や社債を投資対象とした上場投信(ETF)を購入(流通市場企業信用ファシリティ:SMCCF)、③リーマンショック時に導入したTALF(ABS担保の貸出ファシリティ)の復活です。資本供与は上記3つのファシリティに対してそれぞれ100億ドル、計300億ドルです。これによって、3000億ドル規模の信用供与ができるとのことです。このほか、先日開始したCP購入等の流動性供給ファシリティの拡充を行いました。
発表後の米国市場では、目立ったポジティブな反応は見られませんでした。依然として、ウイルスの脅威と経済活動の停滞が、厳しい景気後退を引き起こすことに対する不安感が先に立っている状況です。声明文にもあったように、金融政策がウイルスの脅威を除去できるわけではありません。しかし、これらの施策は、ウイルスの脅威に少しでも改善の方向が出てくると、経済活動の正常化に対して効果を発揮し、その後の景気回復、市場の信頼感を高めることに資すると考えられます。
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