南アフリカの金融政策(3月)~今後の経済、市場展望

2020/03/23
  1. 政策金利は1%引き下げの5.25%でした。厳しい国内景気と世界的な経済活動の停滞に備えました。
  2. 中銀は2020年の実質GDP成長率を-0.2%予想、CPIも下方修正し、追加利下げが示唆されます。
  3. ランド相場は市場のリスク回避指向を受けて急落し、事態が落ち着くまでは安値圏で推移しそうです。

初のマイナス成長予想

3月17-19日、南アフリカ(南ア)準備銀行(以下、中銀)は金融政策委員会(MPC)を開き、政策金利のレポ金利を1%引き下げ、5.25%としました。実質GDP成長率が2019年7-9月期から2期連続で前期比マイナスとなり、2018年前半以来の景気後退期となり、国内経済が厳しい状況にあるのに加え、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で経済活動の停滞が警戒されるなど、先行きについては「極めて不透明」として、大幅利下げで備えました。

中銀は、毎回のMPCで発表している景気、物価見通しで、2020年の実質GDP成長率を前回会合(1月)での+1.2%から-0.2%へ、CPI上昇率も同じく+4.7%から+3.8%へと、いずれも大幅に下方修正しました。経済成長率の予想をマイナスにしたのは初めてのことです。2021年以降に大きな修正はなく、年内の経済正常化を見込んでいるものの、不透明感は拭えず、中銀の予測モデルでは年内に0.5%の追加利下げが示唆されています。

包括的な景気対策取りまとめへ

南アランド(以下、ランド)相場は、多くのドル以外の通貨と同様、世界的に経済活動の停滞が鮮明になってきた、3月上旬から急速な下落となり、本日正午時点では1ドル17.7ドルで前月末比11.6%下落、1ランド6.21円で同8.3%下落となっています。

南アフリカでは、3月に入ってから感染者が確認され、3月22日時点では240人となっています(WHO〔世界保健機関〕による)。ラマポーザ大統領は、15日に国家非常事態を宣言し、欧米、アジアの感染者の多い国からの入国を禁止しました。中銀の予想にもあるように、これらの国での経済活動停滞の南ア経済への影響は免れず、現在、包括的な景気対策をとりまとめている途上です。しかし、先行きが見えない中で、ランド相場は不安定かつ神経質な展開を余儀なくされると見込まれます。

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