BOEが緊急利下げ~今後の市場見通し
- BOEは臨時金融政策委員会で政策金利を0.5%引き下げて0.25%とし、貸出促進策も打ち出しました。
- 今後の情勢次第では追加緩和も辞さない構えで、ゼロ金利や量的緩和拡大の可能性も出てきました。
- 英ポンドの下落は限定的です。今回の政策決定は先行きの景気刺激から支援材料にもなり得ます。
ウイルス禍に迅速な対応
BOE(イングランド銀行、英国の中央銀行)は11日、臨時の金融政策委員会(MPC)を開き、政策金利を0.5%引き下げ0.25%としました。新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動が制限され、少なくとも目先は景気が大きく落ち込むことが避けられず、家計や企業の資金調達環境を改善しました。
また、利下げと同時に、中小企業向け貸出策の導入を表明しました。これは、金融機関の貸出に対して、BOEが資金を供給するもので、最長4年の資金を調達できるようにします(利率は政策金利を基準とする)。貸出金の規模は個々の金融機関の貸出の一定割合(残高の5%+2020年中の貸出純増額の最大5倍まで)です。BOEは1000億ポンド規模の貸出を想定しています。また、貸出に対して一定の資本を積み増すカウンターシクリカル資本バッファーを現行の1%からゼロに引き下げました。BOEは、これによって最大1900億ポンドの貸出余力が発生するとしています。
BOEは、情勢次第では次回の定例のMPC(3月26日に結果発表)での追加緩和も辞さない構えです。ゼロ金利や、今回は見送った量的金融緩和拡大の可能性も出てきています。
金融、財政両面で積極的な景気下支え
英ポンド相場は、緊急利下げによってやや下落したものの、迅速な対応に対する前向きな評価もあり、比較的落ち着いています。一方、対円相場は円高・ドル安が進行した影響で下落しました。
今回の政策決定は、感染収束後には景気刺激効果を発揮すると見込まれ、英国景気に対する安心感とともに英ポンドに対する支援材料になると期待されます。なお同日、英政府は、2020年度予算で、新型コロナウイルス関する約300億ポンドの経済対策を表明しました。医療体制の強化や休業補償、中小企業への税制面、資金繰り面での支援に振り向けられます。政府保証の融資も実施される見込みです。
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