ブラジル経済動向(2019年10-12月期GDP)~景気、市場見通し
- 実質GDPは前年同期比+1.7%、前期比年率+2.1%と堅調でした。個人消費がけん引役となりました。
- 新型ウイルス感染拡大の影響が不可避も、収束後はその反動も含め景気回復を再開すると予想します。
- 景気減速を背景に追加緩和の可能性もあり、株価が底堅い一方、レアル相場は頭が重いと予想されます。
内需中心に緩やかな景気回復
3月4日、IGBE(ブラジル地理統計院)が発表した2019年10-12月期の実質GDPは、前年同期比+1.7%、前期比年率+2.1%でした。3期連続の年率+2%台と、ブラジルの景気が緩やかな回復を続けたことが示されました。
前年同期比に対する寄与度を見ると、個人消費が+1.5%、在庫投資が+0.9%と、内需の底堅さの割に在庫が積み上がった印象があります。これは、輸出が減少したことによる、輸出向け在庫積み上がりと見られます。純輸出(外需、輸出-輸入)の寄与度は3期連続マイナスで、7-9月期以降は輸出の減少が要因です。メルコスール(南米南部共同市場)圏諸国(アルゼンチン、ベネズエラなど)の不振、欧州経済の減速などが背景にあります。
年前半は、新型ウイルス感染拡大の影響で中国経済が急減速する影響(輸出下押しなど)が不可避な情勢です。しかし、北半球の気温上昇に伴って感染が収束し、経済活動が正常化するにつれ、それまでの反動も含め、これまでのような景気回復基調に復すると見込まれます。
レアルは割安も当面は頭重く、株価は底堅い展開へ
ブラジルレアル(以下、レアル)は、市場のリスク回避指向が強まり、新興国通貨全般が売られる流れに沿って、対円では1レアル23円台まで下落しています。経済面からは割安感が強いものの、足元では追加緩和観測も出てきており、当面は頭が重そうです。
また株式市場では、新型ウイルス感染拡大で経済活動が停滞し始めたことから、世界のほとんどの市場と同様、株価が急落しました。ブラジル株式市場は、構造改革の進捗が好感され上昇してきましたが、割高感も出ていました。今回の急落でそれもほぼ解消されてひとまず下落は一巡し、感染収束に伴い、底堅くなってくると見込まれます。
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