ブラジルの金融政策(2月)~当面のレアル相場は?
- 政策金利は4.25%に引き下げでした。景気刺激と物価安定に向けた利下げは打ち止めの方向です。
- ブラジルの景気回復鮮明化を受けて、中銀は、2021年には利上げ局面への転換も想定しています。
- 中国経済の先行き不安から、中南米通貨全般が下落傾向にあり、当面は神経質な展開が想定されます。
利下げ打ち止め。景気、物価安定を見据える
ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、2月4-5日のCopom※で、政策金利であるSELIC金利◇を4.5%から4.25%に引き下げました(全会一致)。5会合連続の利下げで、過去最低を更新しました。累積の下げ幅は2.25%となりました。構造改革の進展を受け、景気刺激と物価安定に向けて利下げを続けてきましたが、中銀は打ち止めとする方針です。
中銀は、2020年末の政策金利の想定を4.25%、2021年末を6%としており、年内は据え置き、2021年は景気回復がさらに進むことを想定し、利上げ再開を示唆しています。一方、インフレ率(CPI:消費者物価指数)については2020年を3.5%、2021年を3.7%としています。インフレ目標圏内で安定して推移しますが、景気回復に伴って2021年は緩やかに上昇することを想定しています。いずれにしても、当面は様子見が見込まれますが、新型ウイルスの感染拡大で中国経済の行方が不透明になっており、事態はやや流動的と考えられます。
※Copom(Comitê de Política Monetária):金融政策委員会 ◇SELIC(Sistema Especial de Liquidação e Custódia):決済・預託特別システム
貿易面での中国の存在感の大きさがマイナスに
ブラジルレアル(以下、レアル)相場は年初から軟調です。年明け早々に米国、イランの間で軍事的緊張が高まり、昨年末までのリスク低減傾向から一転して警戒感が強まり、新興国通貨全般が売り込まれました。これは早期に収束しましたが、中国での新型ウイルスの感染拡大で中国経済の先行き不安が強まっていることが懸念されています。
中国経済の先行き不安で、原油や金属など、商品市況が軒並み下落したことも影響していると見られます。産油国かつ鉄鉱石産出国であるブラジルの通貨にはマイナスです。また、豚コレラの影響による飼料用大豆の対中輸出減少に加え、食品輸出でも中国の存在感は大きく、新型ウイルスの収束が見えてくるまでレアル相場は神経質な展開を余儀なくされそうです。
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