アムンディ・ヨーロッパ通信~ユーロ圏の鉱工業に業況改善の兆候

2020/01/31 <>

 

不振の鉱工業に異変

ユーロ圏の景気改善を示唆する指標がまた一つ、鉱工業の在庫環境の好転が見られました。右図は、EU委員会が発表している鉱工業信頼感指数の中から、受注指数と在庫指数の対前年同月差を用い、受注の増減と在庫の増減との関係を導き出し、鉱工業の景況感を見ようという図です。これは、一般に「循環図」といい、時間の経過とともに時計と逆方向の円を描いて推移する傾向があります。右下を推移しているときは景気拡大局面、左上を推移しているときは景気減速局面と判断されます。ユーロ圏の鉱工業の在庫環境は、2018年に急速に悪化(右下から左上にシフト)し、2019年は受注減少と在庫増加に苛まれました。しかし、2020年1月に、在庫指数の対前年同月差が大きく低下しました。

生産底打ちが見えてきた?

これまで、受注が減少する一方、景況感が良いときに積み上げた在庫がダブつき、企業は減産を余儀なくされました。在庫指数の対前年同月差のプラス幅縮小は、在庫のダブつき具合が改善したことを意味しています。受注指数の対前年同月差はまだ大幅マイナスなので、増産に転じるには時期尚早ですが、在庫が本格的に減少する局面が近づき、生産の先行きに明るさが見えてきたといえます。

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