米国雇用統計(11月)~2020年の米国景気、市場は?

2019/12/09 <>
  1. 11月の非農業部門雇用者数(NFP)は前月比+26.6万人でした。増加ペースが上がってきています。
  2. 雇用増加は低賃金業種中心となっているものの、総賃金を押し上げ、消費を支えると期待されます。
  3. 2020年は年半ば以降は安定した成長ペースで安定し、株式、為替市場には良好な環境と期待されます。

月当たり増加幅、再び20万人乗せ

2月6日、米労働省が発表した11月の雇用統計(速報)では、非農業部門雇用者数(NFP)が前月比+26.6万人と、1月以来の高水準となりました。また、失業率は前月比-0.1ポイントの3.5%でした。2018年以降の景気減速で、雇用の増加ペースが鈍っていましたが、月平均増加数は2019年前半の+16.3万人から7~11月は+20.0万人に回復しています。

雇用の増加ペース上昇の内容を見ると、小売業、人材派遣業、飲食店の3業種で全体の90%以上を占めています。また、地方中心に公的機関職員の改善も目立ちました。一方、製造業、建設業などで増加ペースが低下しました。雇用環境改善が低賃金業種で占められていることに、これまでの景気減速の影響がうかがわれますが、雇用増大で総賃金は前年同月比+4%台で底堅く推移しており、今後の個人消費を下支えていくことが期待されます。

安定成長で市場にとっての環境は良好

市場は、良好な雇用環境を好感し、NYダウが終値で1週間ぶりに2万8000ドルを上回るなど、米国景気の先行き改善期待が膨らみました。ドル・円相場に目立った動きは見られませんでしたが、1ドル108円台で底堅く推移しています。

2020年の米国景気は、これまでの金融緩和の景気刺激効果が次第に顕在化し、年半ば以降は、年率+2%程度の潜在成長率並みの成長ペースで安定して推移すると見込まれます。金利低下観測が後退し、企業業績見通しも改善するなど、株式、為替市場にとっておおむね良好な環境が期待されます。

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