メキシコの金融政策(2019年11月)~ペソ相場の展望
- 政策金利は7.5%に引き下げられました。インフレ率安定、景気足踏みに対応し、米利下げに追随です。
- 引き続き景気の下振れを警戒する政策スタンスで、年内に追加利下げの可能性も十分あり得ます。
- インフレ率と比べ金利が高いのは相変わらずで、相対的なペソへの投資妙味は高いと思われます。
3会合連続の利下げ
メキシコ銀行(以下、中銀)は、11月14日の定例理事会で、政策金利の翌日物金利を7.75%から7.5%へ引き下げることを決定しました。前回と同様、5名中2名が0.5%の利下げを主張しました。
10月のCPIは前年同月比+3.0%と、中銀のインフレ目標水準に並び、中銀は今後も目標近辺で安定すると予想しています。一方、景気は低迷しています。景気後退にこそ陥っていないものの、4-6月期、7-9月期共に、実質GDP成長率はほぼ横ばいで、国内の経済情勢から利下げが適当と判断されました。また、10月30日にFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%の利下げが実施され、米国の金融政策に追随した面もあります。
先行きの金融政策スタンスは、引き続き景気の下振れリスクを警戒する姿勢です。前回会合(9月26日)に続いて、2名の理事が0.5%の利下げを主張していることもあり、景気低迷とインフレの安定が続くならば、年内に追加利下げが実施される可能性も十分あり得えます。
投資環境は引き続き良好
ペソ相場は、過去1年余りの間、景気先行き懸念で世界的に資本市場が混乱し、大きく下落した局面以外は、1ドル19ペソ前後で安定しています。対円では、ドル安・円高を受け、徐々に下落しましたが、最近数ヵ月は景気先行き懸念が後退し、持ち直しています。チリの混乱や米中関係への懸念から足元は下落しています。
中銀が米国の金融政策に追随し、適度な距離感を維持しているため、ペソ相場が方向性を持って変動する可能性は現時点では低いと見ています。また、8月以降、利下げ幅は累計0.75%に達しましたが、現在の金利水準とインフレ率との差が約4.5%あり、相対的な金利水準は高く、先行き金利低下期待から投資資金流入が期待され、ペソの投資環境(特に債券)は引き続き良好と考えます。
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