米国雇用統計(2019年10月)~金融政策と市場への影響は?

2019/11/05

 

  1. 10月非農業部門雇用者数(NFP)は前月比+12.8万人でした。雇用は緩やかな増加が続いています。
  2. 賃金は加速こそ見られないものの、時間当たりで前年比+3%が維持され、底堅い動きとなっています。
  3. 3回の利下げが景気に影響するのは年明け後も、市場はそれを織り込む展開になると期待されます。

景気減速の下でもおおむね良好

11月1日、米労働省が発表した10月の雇用統計(速報)では、非農業部門雇用者数(NFP)は前月比+12.8万人でした。また、完全失業率は前月比0.1ポイント上昇の3.6%でした。

NFPは、2018年と比べれば増加ペースが鈍っており、景気減速を反映した動きとなっています。しかし、そうした中でも平均で15万人を超える増加ペースを維持し、底堅さを表わしているといえます。また、失業率の上昇は、良好な雇用環境の下で、非労働力(就業意志なし)から労働力(就業意志あり)へのシフトが起き、失業者数が増加したためと見られます。

民間企業時間当たり平均賃金(以下、賃金)は前年同月比+3.0%と、伸び率は前月と同じでした。賃金は加速こそ見られませんが底堅い動きです。賃金の伸びは景気の動きに対して遅行する傾向があり、これまでの景気減速を受けて今後鈍化する可能性が高いものの、その度合いは緩やかと見込まれます。

市場は金融緩和の効果を先取りへ

ドル・円相場は108円台、株価(NYダウ)は2万7000ドル台で、いずれも底堅く推移しています。追加利下げ観測が後退し、景気の底堅さが素直に好感された動きと見られます。

景気の先行き不透明感は依然払拭し切れませんが、3回の利下げで、金融環境はかなり景気刺激的になったと見られます。利下げが実際に景気を刺激するのは年明け後と見込まれますが、市場はそれを織り込む展開になると期待されます。

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