ユーロ圏の9月物価・8月雇用~ユーロ反発のきっかけは?

2019/10/03
  1. 9HICPは総合が前年同月比+0.9%と約3年ぶり+1%割れ、コアは同+1.0%と低位が続きます。
  2. 8月失業率は7.4%と、約11年ぶりの7%台前半です。イタリア、スペインの低下がけん引しました。
  3. 政治要因がユーロ相場の重しとなる一方、金融緩和による景気刺激期待が下支えになると考えます。

雇用環境は依然良好

Eurostat(EU統計局)が10月1日に発表した9月のHICP(統合消費者物価指数)速報は、総合が前年同月比+0.9%、コアが同+1.0%でした。総合は2016年11月以来の+1%割れです。生鮮食品の上昇鈍化とエネルギーの低下が影響しました。コアは、サービスの一部品目の上昇から、8月の+0.9%から上昇しました。しかし、いずれにしても低水準での推移は変わりません。4-6月期の労働コスト指数が前年同期比+2.7%と約10年ぶりの高水準となったものの、インフレ率上昇にはつながっていません。景気の先行き不透明感で消費行動が慎重化していると見られます。

また、9月30日に発表された8月の失業率は7.4%と前月比0.1ポイント低下しました。2008年5月以来の7%台前半で、金融危機後最低を更新しました。イタリア(8月:9.8%→9.5%)、スペイン(8月:13.9%→13.8%)の低下がけん引しました。その他周辺国も低下が目立ちました。失業者数は前月比-11.5万人と、5ヵ月ぶりの10万人超の減少幅となり、雇用環境改善が鮮明でした。

金融緩和の効果を待つ段階

ユーロ・ドル相場は、一時1ユーロ1.08ドル台を付けるなど、軟調な展開が続いています。景気の先行き不透明感が強く、金利低下期待が高いことに加え、引き続き根強い政治リスク(英国のEU離脱問題、スペインとイタリアの政局混乱など)が重しになっています。

9月12日のECB(欧州中央銀行)による金融緩和(利下げ、量的金融緩和再開等)は、一部の要人から批判的な発言が出るほど思い切ったものであったと見られ、先行きは景気刺激が期待されます。現在は足元の景況感の冷え込みが注目されていますが、下げ止まりの兆候が出てくれば市場環境が変わると思われます。

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