ズームイン・インディア~インド準備銀行が今年4回目の利下げ-市場への影響は?
インド準備銀行(RBI、インドの中央銀行)は7日、政策金利であるレポ金利を0.35ポイント引き下げ、5.4%にすると発表しました。4会合連続の利下げで、このところ減速傾向にある景気を強力に下支えします。
RBIは年度後半に景気が回復すると予想
RBIは偶数月に金融政策委員会を開いて政策金利を決定します。これまで、政策金利の変更は0.25ポイント単位で実施してきました。今回、0.35ポイントの利下げとしたのは、2018年後半から続く景気減速傾向と低いインフレ率から、定型的な変更幅にこだわらず、金融緩和の効果をより高めることを狙ったものと思われます。また、追加利下げの可能性もあります。
先行きの景気について、RBIは回復を予想しています。実質GDP成長率について、2019年度(4月~翌年3月)は+6.9%ですが、前半は+6%台前半、後半は+7%台前半と、+7%台を回復すると予想しています。また、CPIについては、2019年7-9月期は前年同期比+3.1%、2019年度後半は同+3.6%と安定が続くとしています。なお、インドのGDPに占める対中貿易の割合は約2%と低く、米中貿易摩擦の影響はそれほど大きくありません。
利下げ効果で株価は底堅い展開へ、ルピー下落は一時的
インド株式市場は7月以降軟調です。主に①2019年度予算が期待ほど拡張的でなかった、②上場企業の浮動株比率引き上げ、③富裕層の所得税増税、④自社株買いと外国人の有価証券投資への課税強化、など国内要因によります。これに、トランプ米大統領による対中輸入への関税強化の表明が、新たな政治リスクとして意識されたことが加わりました。
株価は、相次ぐ史上最高値更新で割高感が生じていましたが、今般の下落でほぼ解消しました。今後、利下げによって、景気が持ち直してくれば、企業業績への期待が高まってくると思われ、株価は底堅さを増していくと考えます。ルピー相場は、リスク回避の一環で売られたと見られ、市場心理が落ち着けば急落前の水準に戻すと思われます。
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