メキシコGDP(2019年4-6月期)~金融政策、景気の展望
- 実質GDPは前年同期比-0.7%と9年半ぶりのマイナスとなりました。前期比はプラスに転じました。
- 企業中心に経済活動が鈍化する中、インフレ率は安定し、米利下げに追随する可能性が高まりました。
- 1%以上の利下げ余地があると見られ、次回会合で実現すれば景気下押しリスクの軽減が期待されます。
年後半も緩慢な成長へ
7月31日、INEGI(メキシコ国立統計地理情報院)が発表した2019年4-6月期の実質GDP(速報)は、前年同期比-0.7%でした。マイナスに落ち込んだのは2009年10-12月期以来9年半ぶりです。一方、前期比は+0.1%でした。第二次産業の落ち込みが和らいだのに加え、第三次産業が底堅く推移し、景気後退(2期連続マイナス)は免れた形です。
関連指標の動きは、小売売上高が堅調で4-5月平均は前年同期比+2.2%となっています。一方、鉱工業生産が不振で同-3.1%、固定資本投資は4月が前年同月比-2.5%と、企業中心に経済活動が伸び悩み、成長率が前年同期比マイナスに落ち込んだ要因と見られます。関係の深い米国の景気は、利下げ効果で失速リスクが後退したものの、景気循環の成熟化で緩やかな減速が予想されることから、メキシコも年後半は緩慢な成長が続くと見込まれます。
利下げ余地大きい
米国が利下げを実施し、今後も追加利下げの可能性がある中、メキシコも追随する見込みが出てきました。メキシコ銀行(以下、中銀)がインフレ抑制優先の姿勢で、これまで政策金利を高めに維持してきたこともあり、次回の会合(8月15日)以降、利下げする可能性が高まったと見られます。
6月のCPIは前年同月比+3.95%と、コア(同+3.85%)共に、中銀のインフレ目標の上限(+4%)を下回り、これまでの景気減速の影響で、今後さらに低下する公算が大きいと考えます。一方、政策金利は8.25%です。メキシコの潜在的な成長力は+3%程度とみられることから、現在の実質政策金利(8.25-3.95=4.3〔%〕)からしても、1%以上の利下げ余地はあると考えられ、実施すれば景気下押しリスクの軽減が期待されます。
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