メキシコの金融政策(5月)について~ペソ相場の行方は?
- 政策金利は8.25%で据え置きでした。景気先行きを警戒しつつも、インフレ安定を重視する姿勢です。
- 中銀は、通貨価値やインフレに影響を与える政治課題の進展を、政策の判断材料として重視しています。
- 景気減速が続くことは通貨ペソにマイナスですが、高金利が下支えとなり、当面はもみ合いそうです。
景気先行きに警戒しつつも慎重なスタンス継続
メキシコ銀行(以下、中銀)は、5月16日に定例理事会を開き、政策金利の翌日物金利を8.25%で据え置くと決定しました。内外景気の先行き対して下振れリスクを警戒しつつも、インフレ率の安定を重視した、慎重なスタンスを続けています。
3月CPI(総合)は、前年同月比+4.41%、コアは同+3.87%でした。双方とも前月と比べると一段高くなりました。原油価格上昇に加え、イースターの日程の関係で、一部のサービス品目が大きく上ぶれしたことが要因と見られ、インフレが安定している状況は変わりありません。また、ここに来て米中貿易摩擦が再燃したことで、世界的な景気減速傾向が長引くことも警戒されています。
加えて、ロペス・オブラドール政権が成立して以来、中銀は、持続可能な財政運営、法の支配の強化、腐敗撲滅、社会的不平等との闘いなど、通貨価値、インフレ率に影響を与えるような政治課題の解決を喫緊のものと評価しています。大衆迎合的とされる同政権が、放漫財政でインフレを加速させるとの警戒は相変わらず強く、中銀は慎重な政策スタンスを今後も継続すると見込まれます。
景気減速と高金利がプラスマイナス打ち消し
ペソ相場は足元はもみ合っています。対円は、ドル・円相場の動きに振らされる局面もありますが、対ドルでは1ドル19ペソ前後を比較的狭い範囲で上下しており、おおむね安定しています。
ペソの投資環境は引き続き良好と考えます。4-6月期も国内景気が減速する可能性が高まっていることはマイナス要因です。しかし一方で、インフレ率に対して高い金利(だからこそ景気が減速しているともいえますが)が、ペソ相場を下支えしていると見られます。国際的な政治情勢も合わせ、景気とインフレ両にらみの判断を要する局面ですが、中銀は夏場までは利下げに慎重で、当面、ペソは現水準近辺でもみ合うと見込まれます。
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