「不安材料後退を確認しつつ」の戻りトライの展開

2015/10/01

月を跨ぐ格好となった今週の国内株市場ですが、10月1日の日銀短観や中国PMI、10月2日の米雇用統計など、週末にかけて注目イベントが集中する中で不安定な動きを見せています。特に日経平均は9月29日(火)に700円以上も下落、節目の17,000円台割れとなったほか、年初からの上昇分が帳消しになった場面もみられました。ただし、以降は反発しているため、ひとまず落ち着きを取り戻しています。

相場急落の背景ですが、相変わらず中国経済への警戒は根強いです。スイス資源会社のグレンコア株の急落や第一中央汽船の民事再生手続き開始などが悪材料視されましたが、その背景には中国景気減速の影がちらついています。また、それらに加えて米国利上げ動向への思惑や、オイルマネーの引き揚げ観測などもあります。オイルマネーについては、産油国カタールの政府系ファンドが、投資していたVWやグレンコアの株価急落によって、10日間で約59億ドルの評価損が発生したとの報道がありました。

さらに、日本株は国内企業の業績上振れ期待を先取りする格好で夏場まで上昇してきたため、その反動で売られやすいという指摘や、さらに、「新三本の矢」が先日発表されましたが、アベノミクスへの魅力や期待の低下、政府や日銀の政策を催促する動きなども考えられ、足元の相場環境を整理してみますと、不透明感が強いことに改めて気付かされます。そのため、今後の株価はこうした不安材料の後退を確認しつつ、戻りをトライする展開が想定されそうです。10月1日発表の日銀短観では、大企業の現在の業況判断指数(DI)が製造業で低下する一方で、非製造業では上昇するなど、最近の「輸出関連株売り・内需関連株物色」の動きをなぞる結果となりましたが、両者ともに3カ月先のDIの落ち込みが大きく、日銀短観からも先行き警戒のムードが読み取れます。

なお、日経平均の下値は16,500円あたりが目処となりそうです。この水準は昨年10月末に日銀が追加金融緩和を決定する前につけていた高値圏です。ここを下回ってしまうと、日銀の緩和効果が打ち消される格好となりますので、強く意識される可能性が高いと思われます。

 

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