中国株急落の影響度
今週の国内株市場ですが、前週末に「ギリシャをめぐる協議が前進するのでは?」という期待がにわかに高まったことをきっかけに、相場のムードがガラリと変わって一気に上昇する展開を見せました。24日(木)の日経平均終値は20,868円となり、2000年4月につけたITバブル期の高値(20,833円)を15年ぶりに超えました。
日経平均は昨年10月末の日銀追加金融緩和以降、30%以上も上昇してきたことになります。「かなり上げてきたな」という印象ですが、日本以上に株価が上昇してきたのが中国です。中国も利下げなどの金融緩和をきっかけに上海総合指数が節目の5,000ポイントを超える場面があるなど、ここ半年で倍近くになりました。経済指標や企業業績が奮わないにもかかわらず、株価が急ピッチで上昇しているため、バブルを指摘する声も多く聞かれますし、実際にバブルと思われます。
その中国上海株市場は先週、週間で約13%の下落となっていたため、連休明けとなる今週の動向が警戒されていました。「中国株が急落すると、その影響で訪日して爆買いする中国人観光客が減って日本経済に悪影響も」という内容の記事が出ていましたが、今のところ反発基調を辿っています。注目の中国6月HSBC製造業PMIが今週発表されましたが、景況判断の分かれ目とされる50を4カ月連続で下回ったものの、前月よりは持ち直す結果となり、大きな波乱はありませんでした。
また、足元の中国株の上昇は、かつて上海総合指数が6,000ポイント台に乗せた2007年当時と比較されることが多いです。とりわけ、PER(株価収益率)が比較対象になるのですが、足元の上海株市場のPERは25倍程度です。2007年は70倍だった時もあるため、当時と比べるとまだ株価が正当化できるという見方もあるようです。
ただし、中国株市場の環境は大きく変化しています。2007年当時は中国当局による融資規制や取引の制限などが厳しかったのですが、現在は規制緩和が進み、信用取引における融資残高が5月末時点で2兆元(日本円で約40兆円)を超え、前年比で5倍増になっています。つまり、レバレッジが効いている分、今後株価が急落した時の投資家の痛手は以前よりもずっと大きくなっている可能性があります。中国株の急落リスクは思っているよりも高いのかもしれません。
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