中国株の上昇について
今週の国内株市場は、取引時間中の日経平均が2007年以来の18,000円台をつける場面もありましたが、その後に急落を見せるなど、12月14日に投開票を迎える衆院選を前に少し慌ただしい動きとなっています。
海外に目を向けても、米国NYダウが節目の18,000ドル目前で反落したほか、欧州ドイツDAX指数も数ヶ月ぶりの10,000台に乗せて以降は反落、中国の上海総合指数も数年ぶりに3000台回復後に伸び悩むなど、国内外ともに、過熱感や高値警戒感が意識される中での相場の勢いが試されている状況と言えます。
中国では、今週の9日から来年の経済政策の方針を決める、「中央経済工作会議」が始まったタイミングでもありますが、今年に入って2000台水準で伸び悩んでいた上海総合指数が上昇を始めたのは8月頃からになります。
最初の上昇材料は上海証券取引所と香港証券取引所の、いわゆる相互取引「直通列車」解禁による、中国株市場への海外からの資金流入期待です。その後は、日銀の追加金融緩和に続くサプライズとなった利下げ(基準金利の引き下げ)が上昇に弾みをつけ、そして冴えない経済指標が相次ぐ中、さらなる金融緩和や経済政策への期待が高まりました。
その一方で、足元の上海総合指数の上昇は政策期待による中国景気への不透明感の裏返しでもあります。不動産バブルをはじめ、地方政府の債務問題、シャドーバンキングなど、中国経済への懸念が「浮上しては落ち着く」という状況がここ数年にわたって繰り返されています。ただし、今のところはこれらの懸念が大きな問題に発展していません。
とはいえ、「GDP成長率が7%もある国の物価(CPI)上昇率が前年比で+1.6%に留まっていること自体がおかしいのでは?」という、中国経済や経済指標指標そのものに対する懐疑的な見方もあり、「本当のところはよくわからない」というのも不透明感につながる要因となっています。
日本のバブルの時期を振り返ってみますと、株価が下落し始めたのは1990年からですが、不動産価格が下がり始めたのは1991年からでした。そして1993年ごろから「景気が悪くなった」と多くの人が実感するようになり、大手金融機関の破綻が相次いだのは1997年から1998年にかけてと、一連の流れにはタイムラグがありました。そのため、中長期の中国経済の見通しに対しても、注意深く見守る必要がありそうです。
目先は、中国当局の動きへの反応が中国株市場の展開の中心となり、昨年より注目度が高まった、現代版のシルクロードとも言える「一帯一路」構想のスケジュール感などが材料になりそうです。
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