先取り材料の継続性

2014/11/14

今週の日経平均ですが、終値ベースでなかなか乗せ切れなかった17,000円の大台を達成し、年初来高値を更新する場面が目立っています。

日銀が「サプライズ」ともいえる追加金融緩和を10月31日に発表して以降、日経平均の水準は一気に引き上げられたものの、約一週間にわたって17,000円台で跳ね返される展開が続いていました。そんな折、「消費増税判断の先送り、衆院の解散総選挙」への思惑がにわかに高まり、11月11日(火)の後場から一段高となりました。

さらに、今週は11月限のオプション&mini先物取引SQが14日(金)に控えており、株の先高観測によって、権利行使価格17,000円以上のオプションコールにまとまった買いが入り、同時にコール売り方の先物ヘッジ買いも加わって、デリバティブ主導の格好で上げ幅が加速したと思われます。

直近の報道等からも、消費税と政局をめぐる思惑は現実味を帯びているような状況となっていますが、まずは、来週17日(月)発表の7-9月期GDP速報値や、18日(火)に終了する有識者会合の行方を待っている段階であるため、まだ状況は不確実です。判断を行う時期が後ずれする可能性もあります。ある程度の見極めがつくまでは、材料先取りによる上昇には限界があるほか、思わぬ下落も含めて荒っぽい展開となりそうです。

実際に消費増税判断が先送りされれば、目先の株式市場にとっては、増税による景気腰折れ懸念が後退することになるほか、選挙でも与党が勝利すれば、アベノミクス第3の矢が進展するとの見方もあるため、これまでの株式市場の反応が示すように、上値をトライするプラス材料となりそうです。その一方で、現在のマーケットが思っているほど株価が上昇しないシナリオも想定しておく必要もありそうです。

消費増税の判断については、「景気腰折れと財政信任、どちらの懸念を採るか?」的な面があり、債券市場の動向には注意する必要があります。すでに、10年国債や20年国債、30年国債などの長期国債の利回りが上昇(価格は下落)し始めていますが、今のところは消費増税判断先送りによって、日本景気見通しが改善するだろうという観測を反映した範囲と見ることができます。とはいえ、さらに利回りが上昇するような状況になると、財政信任面からの懸念の高まりという見方が増えてしまう恐れがあります。

足元のムードそのままに、消費増税先送りが判断されても、いずれは消費税率が引き上げられるわけですから、時間を稼いでいる内に、景気回復から物価上昇までの好サイクルに導けるような経済対策と、財政再建への道筋を政治がどこまでケアできるかが、継続的な株価上昇のポイントになりそうです。

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